第68話 動き出したバボン王国
バボン王国王都
宮殿大広間では、王が玉座で頭を抱えていた。
国王ベジタル・ラ・バボン
「まだ、連絡は来ないのか?」
そう、我が手下の近衛・影第3部隊が出動したのは11日も前の事である。
嫌な予感がする。
背筋に冷たい汗が流れてもいないのに流れている感覚は、ブリードル帝国からの最強の暗殺者が近づいてきた時以来の感覚だ。
ことの始まりは、ホロン王国からの以来であった。
第3王女ミルトと辺境伯三女ミリの婚約者が失踪したので、国宝のサーチ・ハイパーを使って探して欲しいという以来だったのだが、この国宝はダンジョンドロップのS級品でかなりMPを消費するが、探しものは必ず見つけるというスグレモノではある。
しかし、近衛魔術師部隊3隊全員のMPを吸い上げて、やっと起動する代物で滅多に使いたくないもの一位である。
今回使った理由は、
1.ヨウ・ヨウガなる冒険者はモンスターの大軍70万の討伐をほぼ1人でやっている。
周りの兵達はモンスターにトドメを刺しただけである。
2.ヨウ・ヨウガは黒髪で、遠い所から拉致されたと言っていた。
おそらくブリードル帝国が行った勇者召喚の1人である。
3.ヨウ・ヨウガが、ワイバーン軍団3万(これだけで一国が消える。)を全滅させたのを、こちらも使い魔伝いに見ていたので、近衛魔術師部隊がヤル気になりサーチ・ハイパー起動に合意したため。
4.美貌も知識も魔術師としてもトップランクの二つ名(結婚拒否)持ちの堅物である、ホロン王国第3王女ミルトが、強制的に婚約しようとしたのである。
宮殿中で笑った!笑った! ち、違う。怖いのだ。敵に回したくない。
5.こんな戦力を、こちら側に取り組まないとブリードル帝国に行ってしまったらホロン王国も同盟を組んでいる我が国も侵略されてしまう。早く見つけないと。
結論から言うと、何故か我が国にいるらしい。
どうやって入国したのかは不明だが、地図にサーチ・ハイパーが光線で示したのは、我が国パイン街であった。
さらに、詳しい地図を出して見てみると、我が王家にも係る者が、住んでいた今は事故物件となっている屋敷を示したではないか!
すぐに、王太子と影第3部隊を送ったのだが、今の所有者はヨー・ヨーガと言うB級ランクの商人らしい。
まさか!我が食卓についこの間並んだあの(白い食パン)の職人達の師匠の名前ではないか!
あのパンは、革命的であった。
白いパンは王都にもある。だが堅い!硬い固い!のだ!
それに、比べあの柔らかさ!
しかも安い! 王都でもぜひ作らせようと全員一致で決まったばかりだった。
しかし、屋敷では門前払いされたらしい。
無理矢理中に入ったが、ゴーストが出たらしい。
人が住んでいるから、やっと天に昇ったのかと思っていたが…
王太子が「叔父達3人のゴーストが出た!メイドも後で思い返すと死んだはずのやつだ!」
と、魔導通信珠を使って言ってきた。
その後、3人の暗殺者を送り込み拉致してくる、これは人助けだ!なんて言っていたのだが…
全く通信がなくなった。
現地の冒険者ギルドと商業ギルドを使って、確認にいかせているが、状況がわからない。
あれから一時間後状況が動いた。
パイン街冒険者ギルドマスターがA級パーティーを護衛に付けて、王太子だけを送り届けて来た。
王太子は、宿で泡を吹いて倒れていたらしい。
うわ言で「許してくれ」とか言っていたので、何も聞かず(ギルマスはゴーストの生前の人物と面識がある。)送ったとの事。
聞けば、影第3部隊は帰って来なかったらしい。
そこへ、朗報が来た!
…………
ほんとに朗報なのかわかりません。
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