第62話 ダンジョンの罠

 

 ダンジョン地下5階…普通なら中ボス部屋か、ボス部屋らしい。

 だけど、出てきたのは別の冒険者パーティーだった。


やな男の冒険者

「ヒヒヒ!ざーんねーんでーしーたー!

 ここのダンジョンは5日前からモンスターが湧かなくなって、俺達(穴掘りの誇り)の奴隷狩り場所になっちまったんでーすー。」


やな女の魔術師風冒険者

「初心者ダンジョンにくるかわいいカモの狩り場なのよね~。

 うふふふ、お姉さんがいろいろ教えてあげてから、高く売飛ばしてあげるわ~。」


(穴掘りの誇り)

「「「「「へっへっへ~」」」」」


AI

「用様、徹底的に闘いましょう!」


「手加減いらなさそうだね。」


 ビシ。


 ビシ ビシ


 気にはなっていた。


 この広間に入っていたときから、この変な音がしていたのだが、今はそんな場合ではない。


 剣士の男が斬りかかってくるのが見えたが、かなり遅い。

 余裕で左のガントレットで受け止める。

 その時、右から斥候の短剣の刃が来るのを右手で受け止める。


 その時、魔術師がファイヤーアローの呪文を唱えていたので、両手背負い投げで魔術師達に2人を(穴掘りの誇り)に投げつける。


 魔術師

「ファイヤーアロー!」


 ドーン


 ファイヤーアローは(穴掘りの誇り)の投げた剣士と斥候に命中して大きな衝撃が発生する。

 その時、ダンジョンの床に大きな亀裂が走って、割れてゆく。

 そしてダンジョン地下5階が崩落した。


  「「「「「うわあぁぁ~」」」」」


 落ちてゆく(穴掘りの誇り)


 用は地下5階の壁にしがみついて、その様子を見るしかなかった。


 「なんだ、このダンジョンって本当にE級ダンジョンなのか?」


AI

「用様この穴の奥からの魔素の濃さはS級並みですよ。

 おそらく、E級のコアがS級ダンジョンに飲み込まれたのでしょう。」


「そして、E級ダンジョン跡がS級ダンジョンのトラップになったってところのなのか?」


AI

「そんなところですね。脱出しましょう。」


 壁伝いに、4階への階段を目指す。


 2時間かけて、あと1mで階段口のところまで来た時である。



 グワー! グギャー!



 穴の底から、何かの叫び声がした。



 ドスン!ドスン!ドスン!

 何が暴れまわる振動が起こり、亀裂が地下5階の天井まで走る。

 まずい。用は4階への階段口にダイブした。

 しかし、目の前で階段口が崩落した。


 そして、用は穴の中落ちていった。


 第1層目の結界を張る。

 イメージは〈人を寝たきりにしてしまうシリーズ〉のフワフワクッションである。


 その外側第2層目の高反発の結界を張る。


 イメージは〈座れないダイエットチェアシリーズ〉のポヨンポヨン座席だ。

 穴の底から、2つの大きな目が見えた。

 見えたと体の思ったとたん、大きな炎が用に向かってくる。

 ペルト街戦いらいの大きな炎だ!


 盾状の結界を3枚炎に向かって張る。


 パリン!


 すぐに砕けてしまった。

 それと同時に床についたらしい。


 パン!


 包んでいた結界が破裂して、用は着地した。

 痛くはない。

 着地は成功だった。


 だが、六階建てのマンション位の大きな黒いモンスターがいた。


AI

「S級モンスター。ブラックファイヤーモグラーです!

 爪攻撃と火属性ブレスに、目から光線が出ます。」


「目から光線が出るんだ!

 (モグラって目があったっけ?地球では退化しただけなのか?)」


 爪攻撃がきた!4連続で突き刺しにくる。


 「ターン・モンスター!」


 5発目の爪攻撃の威力が明らかに弱まるが、口が開くのが見えた!


AI

「魔素濃度上昇確認! ファイヤーブレスです! 逃げ場がありません!」


 ゆみさんの呪いを解除の時に感じたものがあったので、試してみる。


「クリア・ダーク!」


 口にむけて、スキルを撃つといつもは下から空に光があがるが、今回はイメージどおりに手のひらから口に光が出た!


 (手からビームが出た!)


AI

「………」


 モグラーの口の中の魔素が消えて、なくなった。


 あぜんとするブラックファイヤーモグラー!


 隙あり!だ。


 「ターン・モンスター!」


  「ターン・モンスター!」


 「ターン・モンスター!」


  「ターン・モンスター!」


 「ターン・モンスター!」


 「ターン…」


 スキル6発目を撃とうとしたとき、ブラックファイヤーモグラーは倒れた。


 ぜぇぜぇぜぇ!


 必死にスキルを撃つ為に、呼吸すら忘れて撃っていた。


 なんとか、無力化したようだ。


 問題はここからだ。

 ダンジョンである。


 モンスターはすぐに魔素を吸収して、エネルギーに変えるだろう。


 ドドメをさせない用にできる事は、逃げるしかない。

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