季節がその手を繋がせる

吐く息が白くなり、着ている物は日々厚くなっていく冬の日々。


ストーブが愛人。

こたつが本妻。


春を待ちながらこの寒い日々を過ごしていくのが、私達人間。

それでも、いつも寒いと空に吼えたくなる。

実際、綺奈は空に向かって『バカー!』と叫んだので、私がそのまま後ろから小突いておいた。

でもまあ、気持ちはわかる。

だってこんなにも寒いのだから。


でも、毎年この季節が楽しみだったりもする。

綺奈と繋いだ手が、最初は冷たくてそのうちに暖かくなっていくのが心地いいからだ。

夏は暑くて繋ぐのをやめてしまうけど、冬は寒がりな彼女が私を離してくれない。

見栄をはりたがりで、綺奈に対しては絶対に『XXをしてほしい』なんてお願い事を言わないプライドの高い私には最高の季節だ。


「早く春が来ないかなあ」


綺奈の言葉に適当に返事をして、その手を少し強く握った。


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