キミノナヲ
あれは、優華と仲良くなって4日目のことだった。
初日に比べて会話も探るようなものではなくなり、昔からの友人みたいに接するようになった。だけど、まだ1つだけわからないところがあった。
どういうタイミングで、名前を呼べばいいのだろう?
まだ私達はお互いのことを苗字で呼び合っていたので、どこかぎこちなさがあった。
別に苗字で呼ぶだけでもいい。友達同士で苗字を呼ぶのはよくある話だ。だけど、私としては少し前に進みたかった。名前を呼べば、その1歩が踏み出せる気がした。
朝、既に教室に到着していた彼女を見つけると、大股でずんずんと近寄っていった。
「おはよう、優華」
自然とそう言ったつもりだったが、顔面に熱が上ってくるのがわかった。耳もジジジ……といいながら血を運んでいる。
「おはよ、絵里」
一瞬目を丸くした後に、少し頬を染めてぎこちなく私の名前を呼ぶ彼女を見て、私は失敗をしたと思った。
彼女を友達ではなく恋人にしたいと、その時に思ってしまったから。
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