第5話 鬼畜の烙印を取り消すチャンスを得るための条件

「警察とかに行っても無駄ですからね。だってこの常夜町とこよまちは、そういう愛を全力で伝えてなんとしてでも叶えようとする人が、その恋愛成就のためにすることはなんでも許されるんですから。みーくんも知ってるでしょ?」



......確かに知っています。その通りでした。


そんな事例は身近にいくらでもありますもんね。


僕の本当の姉さん、汐波しおは姉さんだって、大好きな幼馴染の自分のものにするために、逃げ出そうとする彼にしっかりお仕置きして、ばっちり調教して従順な彼氏に仕立て上げてましたもんね。


そもそもうちの地下にはそれ用の拷問部屋もあるわけですし......。



......そうだ、家族なら!



「一応言っておきますが、家族に相談するなんてもってのほかですよ?まぁ、私のパパとママはもちろんのこと、お義父さんとお義母さん、シオちゃんも、みんな私とみーくんのまぐわいのことは知っていますし、結婚だってすでに内定をいただいていますから、無駄でしかないんですが」


なんてこった。道理で。


ちょっと前から感じていたんですよ。家族からの生暖かい目線!

なにかと思ってたらそういうことだったわけですか。


内も外もだめということですか......。



と言うことは、誰かに頼るのはもう不可能。



それでも僕は、今まで告白してお付き合いしてくださったみなさんに、こんなに不誠実な男だと思われたままは嫌です。


......いや、そもそも今回振られたのも、もしかするとうーちゃんとの関係が疑われてしまったのが原因なのでは!?

だとしたら、これまでみなさんを傷つけた原因の一端は、うーちゃんにある!?


もしかしたらCHAINのメッセージの中にはそのことを糾弾するようなものもあるのかも!?

うわ、元カノさんからのメッセージを見たくありません......。



ともかく、なら余計に、今こんな形でうーちゃんと一緒にはなりたくない。



もし一緒になるとしても、ちゃんと誠実な状態で・・・・・・恋愛してからお付き合いしたい......。

こんな脅迫のような形じゃなくて、こんなみんなを不幸にした形じゃなくて、きちんとお互い好き合って、みんなに・・・・祝福されるような2人になりたい。





そのためには......、まずはこのがんじがらめの状況をなんとかしてもらわないと......。



「うーちゃん、気持ちはわかりました。でも僕はお付き合いしていくのにこんな脅迫みたいな形は嫌です。なので、僕がレイプまがいのことをしているっていう噂は、消してもらえませんか?」


そう、1番致命的なのはこれです。

だって、このままじゃ僕、犯罪者ですもん。



「この噂を消せるのは、被害者(仮)のうーちゃんしかいません。もう、うーちゃんに誤解だって触れ回ってもらうしかないんです」


「うーん、私が触れ回っても、『みーくんに言わされてる』って受け止められるのでは?」



うっ、確かにそうかもしれません。


「そ、それでもこのままじゃ僕、最低なやつになっちゃいます。彼女がいるのに、うーちゃんに手を出し続けるような下衆だって思われちゃいます!」







「別にいいじゃないですか」



!?



「よ、よくないですよ!」


「だって、みなさんがみーくんのことを下衆な人だと思ってくれさえすれば、みーくんにたかる虫たち有象無象が寄ってこなくなるでしょ?これからみーくんが頼れるのは私だけ。それでいいじゃないですか」


なっ!?

た、確かに、うーちゃんにとってはこの状況はメリットしか無い......のかな。



いや、それなら!


「う、うーちゃん!」


「はぁい?」


「もし噂を消してくれたら僕からの好感度が上がりますよ!」



自分で言ってて恥ずかしいですね......。でもこれならうーちゃんもノッてくれるのでは!?



「ふぅん?なるほど、確かにそれは素敵なことですね。みーくんはもう私のお婿さんになる人生しか歩むことはできませんが、好感度は高いに越したことはありませんものね」


「そ、そうですそうです!ですから、なんとか噂に対処してもらうことはできませんか......?」



お願いします......!



「うーん、そうですねぇ。では、私のお願いを1個聞いてくれたら考えてあげます」



ぎゃ、逆にお願いをされてしまうなんて......。


だけど、ここで譲歩するしかないかもしれませんね。


「わかりました、うーちゃんのお願いを1個だけ聞きます。それで対処してくれるんですね?」


「えぇ、みーくんがきちんとお願いを聞いてくだされば、ちゃんと考えてみますよ」




むぅ。信じて良いのかわかりませんが、ノるしか無いですよね。


「それで、うーちゃんのお願いって......?」



「それはですね」












「1度だけ、みーくん自身の意思で、私を押し倒して、種を仕込んでほしいんです。もちろん、ピルはなしです。それと、ちゃんと私に愛が伝わるような言葉を添えてくださいね?」

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