厳選!ゆきのと朝樹のなんちゃって医療エッセイ~不死身の女とキレキレ看護師の三途の川巡り~

七沢ゆきの@11月新刊発売

第1話 火傷をスタローン魂で治してみる 1

 始まりは、とあるツイートだった。


『#フォロワーが体験した事が無さそうな体験』と言うハッシュタグ。


『かなりの火傷をして「病院に行ったら皮膚移植されちゃう!傷跡が二つになる!そんなのやだ!」とハサミで水泡を切り取り、その 辺のカッターでデブリ※1をし、ワセリン※2と被覆材※3で覆い、その後も肉が腐るたびにデブリし、今では少しシミがある程度ま で治した』


 はい。

 七沢ゆきののツイートでした。

 このツイートに救命看護師の朝樹が8ツイートに渡って熱傷の対応方法を書き連ねました。


 その結果、このエッセイが誕生いたしました。


 このツイート、ちょっと※の解説だけでもするとこんな感じ。


 ※1デブリ:感染・壊死組織を除去し創をきれいにして、他の組織への影響を防ぐ外科処置のこと。debridement 、 略して「デブリ」。決して素人のする処置ではない事は明記しておく。


 ※2ワセリン:いろんな薬剤と混ぜて使用することの多い軟膏。


 ※3被覆材:傷口を覆うものを「創傷被覆材」と呼ぶ。傷の状態や原因によって使用する物が変わって来る。各メーカーから多数の

 種類の物が発売されており、この被覆材の種類の選定だけでも素人には難しい。誤った被覆材を使用することにより傷の治りが遅くなったり、悪化する場合もある。


 ……七沢のやらかしが、なかなか無茶ぶりであることが分かって下さったかと思われます。

 ちなみに救急外来では、そんなにすぐに皮膚移植の話になんかならないし、火傷って原因によって深さが全然違ったりするんですよ。

 熱湯をかぶったとかは生ぬるいです。たき火で焙ったとかは深い事が多いですね。3度熱傷でゆくゆくは皮膚移植が必要と思われます。直火焼きは危険です。


 なので、火傷をしたら夜中でも病院へ行って下さい!!  ←フォント大


「夜とか病院なんかやってる所ないじゃん!」と言う方も多いと思いますが、救急車を受け入れる病院は必ず対応してます。まず電話をして、状況を相談して下さい。専門医はいないと思いますが、とりあえず今しないといけない事を教えてくれたり、応急処置はしてくれると思います。


 なので、火傷をしたら夜中でも病院へ行って下さい!!


 以下、ゆきのさんの話し。(作中の矢印は朝樹の突っ込みです)


 ……彼女の現在連載中の花魁、山吹でもここまで男前ではないかもしれません。


 ◇ ◇ ◇


 <1日目>


 私はゆきの。

 シルベスター・スタローンに憧れる普通の女の子。


 ↑スタローンが好きvな女の子は沢山いると思われるがなりたいと思う娘はすごく少ないと思われる。


 でも昨日は飲みすぎて床で寝落ちしちゃったみたい……。こんなのスタローンじゃないなあ。

 あれ、ここ、ストーブの前?

 わ、おなかに大きな水疱が!!!てのひら一枚半分くらいある~。

 困った。かなりの火傷しちゃった。

 病院に行ったらゲーベンガーゼ……いや、これだと植皮かな……。

 ゲーベンガーゼは血腫が残ったトラウマがあるし、植皮されるのはもっといやだなー。

 傷痕が2つ残る上に瘢痕硬縮とか、怖いな。いちおう女だし。


 よし、これくらいなら自分でなんとかしよう。 ←やめとけ!


 だってスタローンならなんとかするはず!   ←スタローンだって病院行くってば!


 自分がスタローンだと思えば何も怖くない!  ←スタローンだって怖いよ!!


 というわけで、私はある熱傷専門医のHPを見ながら自分で処置しちゃうことにしました。 ←ひ―――!!


 まず、水疱をハサミで切っていきます。  ←最近は水泡は残すこともあるんだよぉ―!

 その辺にある普通のハサミです。

 皮膚から浮いた皮を全部切り取って……おおお、中は真っ赤、黄色、白と見事なグラデーション!


   ↑それは1度、2度、3度の熱傷がすべて揃っていたためと思われます。


 けれど見惚れてる場合ではありません。痛い。  ←当たり前だ。


 ぬるいお湯で軽く患部を洗い流して、ワセリンを塗って、プラスモイストっていう、いまはやりの透明絆創膏の通気性があるバージ ョンみたいなのを患部の形に添って切ってテープで保定!

 テープをびっしり張るとせっかくのプラスモイストの通気性が弱くなっちゃうので最低限で!

 このプラスモイスト、浸出液を吸い取り患部を湿潤に保ちながら通気性も確保する優れもの……らしい。

 とりあえずこれで処置1ターン目は終わり。


  ↑ 処置が正確で驚いた。モイストブラストを自宅に常備していることにも驚いた!(一般家庭には普通はありません)

 ……もしやホントに毎日剣を片手に異世界にでも行ってるんじゃないですか?


つづく

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