第14話 下北沢
★ 下北沢
よし、わかった。
ケジメだ。
まず、
暮らし始めるルールをキチンと決めよう。
一人あたりの家賃、光熱費。
暮らすに当たって実現したいと考える事。
家事、食事のルール。
誰か欠けてしまったり、
家賃が払えなくなってしまった時の条件。
あと。。
僕はずっと愛犬と暮らしたいんだな。
ペット可物件が必須。
ワガママを言った。
三人は嬉しそうに、任せろと。
そして、
一週間という早さで
今まで三様の物件条件が
分かれていたのだが、見事に
一致する物件を見事に見つけ出したのだ。
その早さに三人の本気度が
ようやく理解ができた。
大好きな高円寺とは別れの時期が
来てしまった。
新居は下北沢。
ペット可物件が最大の
ネックだったらしいが。
ジュンの可愛さに仲介屋さん、
まだしも大家さんまでもが負けて、
ペット飼育を了承してくれたらしい。
恐るべし、ジュン(笑)
下北沢から四人でのスタートだ。
九月の終わりにそれぞれの家から、
下北沢の新居に引越しが決まった。
僕はユキの事で忙しい文也の為、
一人営業が続き休めなかった。
一週間、仕事が終わってから
コツコツ荷造りを完成させ、
分かりやすい様に記しをして、
当日は龍斗に任せ、引越しを終えた。
高円寺の家から仕事に行き、
帰宅は下北沢という
少しワクワクするような一日だった。
下北邸はルームシェアしなければ
高すぎて絶対住めないような
贅沢な間取りの三階建て
のマンションだった。
二階のワンフロア全部使った
広過ぎる作りで、四人で割るので
家賃も高円寺の家に比べると
安くルームシェアの
素晴らしさを改めて実感した。
大満足な素敵な家だった。
リビングは友達が
最高二十人雑魚寝したときも
あるくらい広くて
広過ぎてみんなが居ない時、
一人で留守番をしてると
妙に寂しくなった。
玄関を開けると、左側に
トイレ、バス。
廊下を挟み右側、南向き
全てに三つの部屋。
東側から、
ナオトの和室、ジュンの洋室、
僕と龍斗の少し広めの洋室、
が割り当てられていた。
南側全てに窓やバルコニーがあり、
日当たりは暑いくらい
良好もいいところだった。
初日から楽しかった。
おやすみとおはようが
こんな幸せな言葉だったと。
僕の人生で一番、
最高に楽しかった六年間だった。。
そして僕のこれからを全てにおいて、
形成してしまった六年間だったのだろう。
三十四歳の夏。
そして、今。
あの頃に戻りたいとかは
言いたくない。
前に進もうとしたが、
なんだか疲れた。
睡眠薬が見える?
飲んで、全部飲んで、
漆黒の深い眠りのまま
三十四歳のあの時を思い出しながら
消えてしまおうかな。。
目を瞑る。。
その時、
龍斗と出逢った時に見えた、
龍斗との老後の生活が
また蘇ってきた。
こんな時にまで、
まだ生きたいと、
僕の細胞が騒ついた。
悔しい。。
まだ、
僕は負けたくない、
誤解されたまま死ねない。
復讐したい。
と、この場に及んで未だ思う。
生きろと僕の細胞が言っているようだ。
苦しみと憎しみと悲しみがある以上、
まだ生きろと魂が言ってる。
その感情が原動力と
なる時を待ってる。
宇宙に比べたら、
こんな事は小さ過ぎて笑える。
その笑いも宇宙からすれば
ナノレベルだ。
宇宙は無限大過ぎて、
ただ言えるのは、
宇宙の無限大よりはるかに
君の事が大嫌いだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます