第11話 後悔
ひとつ幸せを感じ始めると、
ひとつ何処かが崩れ、壊れる。
全てが上手く同じ歩幅で進まないのが
僕の人生だった。
そして、四十代の今、
僕の全てが壊れた。。
★ 後悔
サロン内の文也、
ヨシキ、僕の心は段々音が
聞こえるような勢いで、
三人バラバラになった。
サロンの不況やバイトでの睡眠不足で、
ヨシキも僕も疲労が溜まってたんだろう。
ヨシキが二日酔いで遅刻をした。
いくら友人同士の社会でも、
社会人としての常識範囲内での
謝罪が必要だと思った。
だが、ヨシキは何も言わず
当たり前の様に昼過ぎに酒臭い体で出勤し、お客様に対しても酷い接客だった。
文也は休みだったので、
僕がヨシキに言った。
イライラしていた僕の言い方が悪かった。
ヨシキ、今のお前は最低だよ、と。
ヨシキはずっと僕を睨み続けていた。
僕はヨシキに次々と
溜まったストレスをぶつけ、
酷い事を言ってしまった。
ヨシキの事、
親友になれそうだったけど、
やっぱり無理、嫌いだ。
って。
ヨシキは突然怒り狂い、
僕の胸倉を掴み押し倒した。
僕も大人気なくヨシキに向かい体当たりをし、ヨシキが倒れた。
その反動でヨシキのワゴンや
飾ってあったホワイトセージの
植木鉢がバラバラに音を立て
倒れてしまった。
少しやり過ぎたと
思った瞬間には
もう遅かった。
ヨシキが起き上がり、
突進し向かってきた、
拳を振り上げ僕の左頬を殴った。
一気に口の中に鉄錆の様な匂いが広がり、
血が出るのが分かった。
ツバを吐くと真っ赤な水分が床に広がる。
僕は赤が嫌いだ。
僕の細胞が音を立て壊れるのが分かった。
ヨシキの顔面に頭突きして、
怯んだ隙に左頬を殴った。
ヨシキは涙を流しながら、
僕の膝を握りしめながら唸っていた。
僕も立ち尽くしたまま、
天井を見ながら止まらない涙を恨んだ。
それが最後にみたヨシキの姿だった。
ヨシキは店を出て行き、
そのままサロンには二度と来なくなった。
後日、文也に辞職届を出しに来たらしい。
それからはもう、
街ですれ違っても分からない程の年月、
会ってない。
元々、細胞は同じだが生きる道が
違いすぎていたのだかろう。
たまたまこの時代が
ヨシキと僕の交わるXの中心だった。
最後に不満と文句を全て
文也にぶつけて去っていったと聞いた。
今はあの時に
ヨシキに向かい言ってしまった
言葉を後悔してる。
殴り合いまでした親友は後にも
先にもヨシキだけだったな。
ごめん、ヨシキ。
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