記憶遊戯〜VRMMORPGで召喚獣たちと記憶探し〜

語黎蒼

序章

 フルダイブ型VRMMORPG機器【Equip Adventure World】通称『EAW』……と、制作会社のCMなどでは言っているが、ゲーマー達はマヌケに「アドワ」と略して言っている。制作会社は本当はカッコ良い方に略してほしかっただろうが、略し易い方を言うのは仕方のないことだ。

 ゲームの中に入り実際に生身と同じ感覚で遊べるアドワは生産が追いつかないほど売れた。そして俺は……。


『決まったーー!!!優勝は【暗黒騎士】ユーゴだーーー!!これによりランキング1位も入れ替わったー!!』


 アナウンスの女性が叫ぶと観客が一斉に歓声をあげる。

 フィールドを覆っていた透明なバリアが消えていく。


「負けちゃったか……自信あったんだけどな」


 長く真っ赤な髪と真っ赤な軍服を着た少女が悔しそうに頭を掻きながら歩いて向かって来る。


「優勝おめでとう、ユーゴ」


 少女は右手を差し出す。


「ありがとう、アカネ」


 俺はアカネと握手を交わし、アドワで最後のPvP武闘会は俺の優勝で幕を下ろした。

 この一週間後にアドワのサービスが終了した。

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