09
これを聞いたベルグとイザベラは激高した様子で言いました。
「テメエこのダメ女調子になるんじゃねえぞ!!!」
「ローラ!!ふざけんな!!!そんな事できるわけないでしょ!!!」
「やらないんですか??」
私の問いかけに二人は言いました。
「当たり前だろうが!!」
「何でローラなんかに謝らなきゃならないのよ!!」
「やらないなら死罪になるだけですよ??いいんですか??」
「くー!!!」
「ローラ!!」
そしてベルグとイザベラは顔を震わせながらゆっくり顔と手を地面につけました。
二人が小さな声で言いました。
「ローラ様本当に申し訳・・・ございませんでした。」
ですが私は大きな声で二人に言いました。
「聞こえませんよ、もっと大きな声で言ってください!!」
「ローラ様、本当に申し訳ございませんでした。この愚かで無能なベルグを許してください。」
「ローラ様、本当に申し訳ございませんでした。この愚かで無能なイザベラを許してください。」
ですが私はそれでは満足しなかったので二人に言いました。
「ダメですよ?それじゃあ??」
「なんでよ!!ちゃんと言ったでしょ!!!」
「許してくださいじゃ、馬鹿そうに聞こえないじゃないですか?許してくださいまちってわざと間違えて言いなさい。もちろん馬鹿そうな声で言うんですよ。」
「テメエー!!」
「ローラ!!!」
「はい、それじゃあもう一度です。」
ベルグとローラは再び手足と顔を地面につけて大声でこう言ってくれました。
「ローラ様!!本当に申し訳ございませんでした!!!この愚かで無能なベルグを許してくださいまち!!!」
「ローラ様!!本当に申し訳ございませんでした!!!この愚かで無能なイザベラを許してくださいまち!!」
「いやあ痛快ですね。」
「ああ約束通り死罪は免除して終身刑とする。」
するとベルグが私に尋ねてきました。
「なあ終身刑ってなんだ??」
私がベルグに言いました。
「そんな事も知らないんですか。一生牢屋の中に閉じ込められる処罰の事です。」
「牢屋の中??豪邸の中じゃないのか??」
「処罰なのに豪邸に住める訳ないでしょう。あなたはお城の地下にある牢屋でこれからの一生を過ごすんです。」
「なんだと??」
すると騎士団長が騎士達に言いました。
「ではまずベルグを地下牢に連行する!!!」
ベルグは騎士達に取り囲まれると、そのまま地下牢に連行されていきました。
「止めてくれ!!!牢屋は嫌だ!!!」
ベルグは大声で喚きながら地下牢に連行されました。
するとイザベラが私に言ってきました。
「ねえローラ、まさか私まで地下牢に入れる気じゃないでしょうね。私達は同級生だったんだし、きれいな部屋を用意してよ!!ねっ??」
私はイザベラに言いました。
「公爵様達を手にかけたあなたには本来選ぶ権利なんてないんですよ。暗い牢屋の中で自分の犯した罪を一生をかけて償ってください。」
するとイザベラは下を向いてうずくまってしまった。
私はイザベラに問いかけました。
「イザベラ??何をしてるんです?早く立ってください。」
するとイザベラが何かを呟いているのに気がついた。
「今そのお力によりて、大地に縛られ・・・」
騎士団長が大声で言った。
「まずい飛行魔法で逃げる気だ!!!」
ですが私はイザベラに言いました。
「イザベラ!!無駄ですよ。」
イザベラは私の言う事を無視して詠唱を終えると飛行魔法のフライで逃げようとしました。
イザベラが大声で魔法を唱えます。
「フライ!!」
ですが飛行魔法のフライは発動しませんでした。
「な???なんで魔法が発動しないの!!!何をしたの。ローラ??」
「魔法石を使いました。魔法石でフライの魔法を無効化したんです。」
「魔法石で魔法を使ったっていうの?魔法を無効化する魔法なんて聞いた事もないわよ。」
「魔法石を使ったといってもそのままの意味です。魔法石の粉を使ったって事ですよ。」
「魔法石の粉ですって??」
「ええ色を失った魔法石を再度結晶化して細かく砕くんです。その粉を地面にこっそりまいておいたんです。」
「魔法石は魔導士が魔力を補充したり、魔法石内に閉じ込められた魔法を使ったりするもののはずよ!!魔力を使用し色を失った魔法石は何の価値もないはずでしょう?」
「確かにその通りです。ですが色を失った魔法石を高温で凝縮する事で魔法石には別の効果を持つのです。魔法の無効化という効果をね。」
「魔法石にそのような使い方ができるのですか?」
「くうー!!!ローラ!!!どれだけあたしをコケにしてくれるのよ!!!」
「悪いですけど、もっとコケにさせてもらいますよ。イザベラは逃亡を企てました。その分、刑を重くしないといけません。」
「ちょとまって!!ローラ!!死罪は嫌よ!!助けてよ。」
「でしたら分かってますよね。またあれをしてください。」
「くうううううう!!!!」
イザベラがまた手足と顔を地面につけて私に言いました。
「ローラ様、本当に申し訳ございませんでした。この愚かで無能なイザベラを許してくださいまち。」
「もういいでしょ??」
「あと一回やりなさい。」
「またやるの??」
「当然ですよ。あなたは逃亡を企てたんですから。」
イザベラが再び手足と顔を地面につけて大声で私に言ってくれました。
「ローラ様、本当に申し訳ございませんでした!!この愚かで無能なイザベラを許してくださいまち!!」
私がイザベラに言いました。
「ええ、分かりました。許します。」
四回も土に顔をつけたイザベラは顔も服も土まみれになっていました。
騎士団長が騎士達に言いました。
「ではイザベラを地下牢まで連行する。」
そしてイザベラはそのまま騎士達に連行されていきました。
するとセドリック様とヨーゼル様が話しかけてきました。
「いやーそれにしてもローラ様はご聡明です。」
「ああベルクの犯行に気が付いただけでなく、証拠を出させる方法さらにはイザベラが逃げようとする事まで読んでおられるとは。」
「ローラ様の聡明さにはただただ関心させられるばかりです。最初からあのお屋敷に公爵様の遺体を隠しているとお気づきだったのですか?」
「ええ何かを隠しているとは思っていました。私がアルーバの別邸にきた途端にベルクが顔を出すようになりましたからね。今までろくに顔も見せようとしなかったくせに。」
「さすがはローラ様ですね。大賢者にも劣らぬ素晴らしい知識と判断力です。」
「ええローラ様がいなければ今頃ベルグが何食わぬ顔で公爵となっていたはずです。そうならなかったのはすべてローラ様のおかげと言えるでしょう。」
「ヨーゼルそろそろいいのではないか?」
「そうですね、問題は解決しましたしね。いいタイミングかもしれません。」
「それはどういう事ですか?」
「ゼルハイム公爵家嫡男ヨーゼルゼルハイムでございます。是非とも我が妻となって頂けないでしょうか?」
「ローラ様、もしよろしければこのセドリック・エルテリアと婚約してもらえませんでしょうか??」
「へええ???」
私はどういう事か分からずお二人に尋ねました。
「セドリック様、ヨーゼル様どういう事ですか??」
「見ての通りでございます。私もヨーゼルもローラ様をとても愛おしいと思っているのです。」
「あなたほど可憐で聡明な方は他にいますまい。前々から愛おしいと思っておりました。」
「セドリック様、申し訳ありませんがこの勝負は譲れませんよ。」
「ああもちろんだ。だが私も譲る気は毛頭ない。必ずローラ様に振り向いて貰う。」
「ローラ様に前々から心惹かれていたのです。」
「ああベルグが血迷って婚約破棄してくれたおかげでこうして再びチャンスが巡ってきました。」
「その一点だけに関してはベルグに感謝しなければいけませんね。」
「えっとあの??」
どうしましょう、言葉が出てきません。
というかお二人とも私の事が大好きだったんですか?
言葉通りに好きでいてくれたんですね。
いつも私の事を大事にしてくれて、誰よりも私の事を思っていてくれたのですね。
友達だから仲良くしてくれてた訳ではなかったのですね。
セドリック様とヨーゼル様が私を愛おしいと思っていてくれた事がとても嬉しかったのです。
嬉しくて嬉しくて仕方がありませんでした。
ですが私はお二人に尋ねました。
「本当によろしいのですか?私は婚約破棄された身なのですよ。」
「そのような事まったく気に致しません。」
「もちろん私も気にしません。」
そしてセドリック王子様とヨーゼフ公爵様が手を差し出してきました。
私の顔はゆでたこのように真っ赤になっていたに違いありません。
お二人の真の気持に気づいた以上私も覚悟を決めました。
そしてセドリック王子様の手を取りました。
「セドリック様、私もセドリック様の事が大好きでございました。」
「ローラ様!!!とても嬉しくございます。」
「これからは二人で共に歩んでいきましょう。」
「はい、よろしくお願いします。セドリック様。」
ヨーゼフ様がとても残念そうな様子でセドリック様に言いました。
「無念です。セドリック様、私の分もローラ様を幸せにしてください。」
「勿論だ。必ずローラを幸せにする事を誓おう。」
するとセドリック様が私の唇に唇を近づけてきました。
私もそれに応えるように静かに目を瞑って待ちました。
そして私はセドリック王子様と熱い口づけを交わしました。
セドリック様が美しい青い瞳で私を見つめます。
そして優しく私に言ってくれました。
「ローラ、そなたがとても愛しい。」
「私もです。セドリック様。」
婚約破棄をしてくれてありがとうございます~あなたといると破滅しかないから助かりました。 @normalguest3000
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます