剣士の彼女

マルタ

プロローグ

学園の敷地内にある舞台脇で向かい合うは、2人の少女たちだった。


1人の少女は、背中の半分ぐらいまで伸びた銀髪を適当にポニーテールした髪型と、紅玉色の瞳が特徴的な、16歳ぐらいに見える少女だった。整った顔立ちと立ち振る舞いから、儚げな印象を与えながらも、どこか芯の通った強さを感じさせる少女だった。


対する少女は、肩まで伸びた濡羽色と、青玉色の吊り目気味な瞳が特徴が的な、銀髪の少女と同い年ぐらいの少女である。日焼けのない肌、端麗な容姿は自信に満ちており、勝気な印象を与える少女だった。


2人の右手には真剣の刀が握られていた。

互いが緊張した面持ちで入場の時を待っている。

数千人を収容できる会場には、席に座れず立ち見が現れるほどの観客が、少女たちの試合を心待ちにしている。


進行役のお姉さんが2人の紹介を始めたところで、僕はインカムを通して銀髪の少女に話しかけた。


「これが最後の試合やね。紬と出会って、この舞台に来るまで本当にいろんなことがあったけど、今までの全てをこの試合で出し切って、悔いの残らんように頑張りや」


銀髪の少女は笑顔で振り向く。

「君と私ならもっと大きな舞台に行けると思っとるねん。君の応援があれば、どんな相手にだって勝てるけん、ずっと見て応援しててね」


「因幡紬選手!」


僕と紬が話している間に、選手紹介は終わり、選手入場の時間になっていた。

紬は前を向き対戦相手に意識を向けながら入場していく。

紬の入場していく後姿を見ながら、僕は紬と出会ってから、今日までの日々に思いをはせた。


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剣士の彼女 マルタ @Charlotte_8901

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