第16話 レリアの、2度目の逆恨み。そして 俯瞰視点(1)
(今は、負けておきますわ……。でも……! いつか必ず、今度こそ……っ。同じ目に遭わせてやりますわよ……!!)
治安局への連行が始まってから、およそ2時間後。道程の3分の2を通過した頃のことでした。絶望していたレリアはようやく落ち着きを取り戻し、再び理不尽な怒りの炎を燃やしていました。
(お父様。さっきの言葉は、間違いない情報なんですわよね?)
(ああ、間違いない。私達への刑は、あのような重さとなるはずだ)
強制労働を伴う三十数年の収監、および、顔に大きな傷をつけられてしまう――。それが、父ヤニクの見立て。
この国では貴族間でトラブルがあった場合は『行おうとしていた罪を実行される』という法があり、それを受けた上で収監されます。ヤニクは自らの行いを過去の事例に当てはめ、その結果ほぼ誤差のない『正解』を弾き出していました。
(だったら……っ。三十年間耐えて出所して……っ。ベルティーユにお礼をしに行きますわ……!!)
牢屋を出る頃には47歳前後になっていて、顔に傷がある上に貴族籍もない。けれどわたくしはっ、その程度で輝きを失くすような人間ではありませんもの!
色仕掛けでもすれば男はコロッと騙されて、上手く操れば駒にできる。ソレを使って、何かしらをしてあげますわ!!
自分を過大評価している、レリア。彼女は自信満々でそう決め、娘を溺愛する父も協力を誓います。
(レリア、最後に勝つのは我々だ。お互い、その時まで耐えような……!)
(ええお父様っ! 収監は地獄だと思っていましたけれど、楽しみがあるなら乗り越えられますわ)
ニヤリ。ニヤリ。
レリアとヤニクは嗜虐的で悪趣味な笑みを浮かべ、そうしていると――
「な、なんだ?」
「えっ? なんですの……?」
――馬車が突然止まり、それを合図に2人は乱暴に外へと引きずり出されてしまいました。
「どっ、どうなっているんだ!? おっ、おい!! ここは森の中じゃないか!!」
「治安局に連行するのではなかったんですの!? なんなんですのこれはっ!?」
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