モリテ 痛み分け回復師

@takahoshi

第1話 モリテのセイ

モリテ、それは主人を守る護衛たて

「死んで主を守れ」



ここはモリ屋。

仕事を亡くし、家族、生き場所を失ったものが集う、モリテの宿り場。

モリテとして雇い主の契約の申し出があるまでは、寮でもあるモリ屋で生活する。


食堂で2人の男が話をしている。

また1人モリ屋を出て行った。モリテとして選ばれた人がいるようだ。


「おい、聞いたか……の奴死んだらしいぜ」


「ああ聞いたよ……も同じく死んだってよ。あー、俺も早く逝来てーなぁ。

主を守って逝けたら本望だ」

1人の男が話に割り込んでくる。


「おいおい、俺は簡単に死なないぜ、どうせなら好きに暴れてやる」


「ったく、こうゆう奴がいるからうちのモリ屋は誤解されんだよ。野蛮だの反抗的だの」


「ケッ、死にたがりのしみったれどもよりはいいさ」


「あぁ、なんだ? やんのかよ」


「へっ、なんなら今やってもいいんだぜ」


言い争う男達に、割って入る。

「オイ! お前ら何やってんだ、早く昼飯食って稽古に戻れ!

それとも俺の稽古相手になってくれるのか?」


「うっ、フリート隊長、失礼しやした」

男たちが去って行く。


「おい、邪魔するなよ、面白そうだったのに」


「ヴァン、またか。お前は気が短い。ケンカっぱやすぎる。それじゃモリテとして選ばれないだろうが。あいつらだって本当に死にたいわけじゃない。

用は生きる目的だろう、与えられればそれに準じるだけのこと」


「でもよぉ、どうせならちゃんと自分として生きていきてぇだろう。

なっ、セイもそう思うだろ?」


「え、あっ、そうですね」


「だろ!」


「そうだな、だがそう毎回──」

話し続けるフリートとヴァン。

その横で昼食を食べるセイ。



「言えない、(主のために逝った仲間が) 羨ましいなんて」


そう思うわたしはただ死に場所を探しているんだろうか。

納得できる最後を探しているんだろうか。

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