第3話 白咲 十夜

僕は、今、死んだはずの白咲 十夜の家に俊と謝りに来ていた……

理由?それは………



実は、二時間前…………

「俊………あれ……あのベンツの運転手……僕らに手を振ってない?」

そこには、二人の正面から走ってくる黒いベンツの運転席から、二人に手を振るダンディーな男性が確かにいた。

「蘭、逃げるぞ。追っ手かも知れねぇ。もう、一時間は、経ったからな。」

僕は同意して、逃げようとした。その時だった……

「待ってくれ。俺は、白咲 十夜の父親だ。十夜は、生きてる。私の家に来てくれ。

話をさせてくれたら、それ以上なにもしない。約束しよう。」

そう言う、十夜のお父さんを信じて、僕らはベンツに乗せてもらい、十夜のお父さんの家に招かれた。

「お邪魔します」

僕らは、声を揃えて緊張しながらソファに案内され、十夜のお父さんと向き合った。

「本当にすまなかった。」

謝るのは、僕らのはずなのに、何故か僕らが謝られた。

「十夜に大体の事情は聞いた……人の個性を馬鹿にするなど言語道断。

十夜は、君の怒りに驚いて気絶しただけで、口の中を怪我したぐらいだ。私は、損害賠償とか考えてないから、安心してな。」

僕は、十夜の父親の優しさに思わず涙を流した。

「ありがとうございます。こちらこそ、何があっても暴力は、良くありませんでした。

ごめんなさい。」

僕は、十夜のお父さんに謝った。心から……。

その後、明日から学校にいつも通り登校できることが決まった。




~十夜が病院から帰ってくる~

「おい、くそ親父。

金よこせよ。俺、殴られたんだぞ?」


「バカヤロー」

十夜の父親は、十夜を思いっきり殴った。蘭と同じ箇所を……

「てめぇ……社長のくせに……世間にばらしてやる。

虐待だぜ(笑いながら)」


「お前は、いつから腐った?母さんが生きてた頃までは、真面目な跡継ぎだったじゃないか……

お前みたいなやつ、息子じゃねぇ……出てけ‼️」

「出てってやるよ……こんな家……仲間に住ませてもらうよ。」



「お前は………真面目な十夜は、死んだんだな……

母さんが……由実がいたら、家族円満だったんだろうなぁ。」

十夜は家をその晩に飛び出した。



~次の日~

「十夜は、退学だそうだ。お父さんから直接、そう報告があった。」

僕と俊は、僕らのせいじゃないか?ととても不安になった。

しかし、その後、先生に詳しい事情を聞いた。


「なぁ……蘭。十夜の時……かばってくれてありがとな。暴力は、良くなかったけどさ……

嬉しかったぞ。」




僕は、胸が締め付けられるくらい、嬉しかった……

この瞬間、目標が定まった。

僕は、

「高宮俊を手に入れたい。」

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