第23話 襲撃 5
「フィリア姫殿下を確認。ガラン殿下と痴話喧嘩中の模様です」
イチゴの報告を僕は、もう1体の魔導人形を確認しながら聞いていた。
ちなみに、僕とイチゴの距離は500メートル程離れている。
フィリア姫様とガラン殿下に向かっていた魔導人形が二人を包囲するように配置していた為に、片方をイチゴに監視させるためだ。
なので、情報伝達をどうするかと考えていたらミネルヴァさんが、僕とミネルヴァさんの様に頭に直接話しかけれる念話システムをイチゴにインストールしてあげた。
どうやってインストールしたかって?
・・・・・・ちょっと恥ずかしいのでまたの機会に・・・・
「痴話喧嘩?」
「はい、良い雰囲気で言い争っておられます。あ、フィリア姫殿下がガラン殿下の股間を蹴りあげてそのまま地面に倒れこまれました。微笑ましいですね」
イチゴの感性がちょっと変じゃない?
『ノール様の支配影響力が強すぎた為に感性が異常発達した可能性がありあす』
はは・・・
「それよりイチゴ、そっちでもう1体の魔導人形を確認している?」
「はい。ノールお姉様のお力をお借りしていますので、認識阻害の外套を羽織っていますがその影響が消えてはっきりと視認できます」
僕はイチゴからの連絡をもらい、スキル貸与が正常に機能しているので安心していた。
『一国のしかも王都の警備を掻い潜るのですから何かしらの阻害スキルを持っていると思いましたが、認識阻害の魔導具だったようですね』
そうなんだ。
「イチゴ、これって凄い魔導具なの?」
「はい、国家レベルじゃないと管理出来ない代物です。一般的には出回っていないと思います」
「ということは、グリアノール帝国の魔導人形である可能性が本当にあるのかも?」
「国家レベルといってもそれなりの大国でないと持ってさえいませんからある程度限られてくるとは思いますが・・・」
歯切れの悪いイチゴの言葉にグリアノール帝国が関与している可能性が高いと思っていることが分かる。
「フィリア姫様とガラン殿下があんなに仲良く喧嘩されているのにどうしてなのでしょうか?」
イチゴが呟く。
うん、一度イチゴの芽生えた感情表現、感性、感覚についてちょっと話し合った方が良いかも。
「どうします? このまま魔導人形を取り抑えますか?」
「そうだな・・・」
もう一度周囲を確認したら、ガラン殿下の護衛人形も近くには居るけど、襲撃を伺っている魔導人形には気づいていないみたいだし、このまま襲撃を未然に防ぐのが良いのかもしれないけど・・・
ミネルヴァさん、大丈夫そう?
『はい、準備完了しています』
了解。
「イチゴ、そのまま監視を続けているだけで良いよ」
「え? でももう今にも動き出しそうですが?」
「大丈夫・・らしいから、僕を信じてくれる?」
「もちろんです!! 神の命令よりノールお姉様の言葉が優先されますから!」
「そ、そう・・・・」
なんだかイチゴの僕崇拝が加熱してない?
『それだけ、ノール様の存在は魔導人形にとって特別なのです』
面映ゆさで爆発しそう・・・なるべく目立たないようにしよう。
『ノール様、動きます』
ミネルヴァさんが冷静にでも素早く僕に不明の魔導人形2体が動き出すことを伝えてきた。
「ほ、本当に宜しいのですか!?」
「うん、大丈夫僕を信じて」
「かしこまり!」
はは、だんだんイチゴの性格が偏ってきているような・・・・
その瞬間だった。
2体の魔導人形の魔力値が一気に膨れ上がった。
次の瞬間、今まで居た場所から魔導人形の姿が一瞬で消えたように見えた。
それに遅れることコンマ1秒後にガラン殿下の魔導人形が動いた。
「ど、どうした!?」
「な、何!?」
二人の声が重なった。
その大声に周囲の人達も振り替える。
その視線の中心に居るのは、さっきまで痴話喧嘩・・・ノールへ何を買っていこうかもめていたフィリア姫と、ガラン殿下の二人と、黒い外套を全身にすっぽり羽織った二人の女の子が居た。
ただ、その黒ずくめの女の子はつい一瞬前まではその場には居なかったはずだった。
「殿下、ご無事ですか」
「ん? ロイか。どうした急に現れて」
「・・・先程フィリア姫様と殿下に向けて魔力攻撃が放たれて・・・のはずだったのですが・・・」
「そんなものはないぞ?」
「・・・はい」
「ロイ、周辺状況に危険対象、検知無し。オールクリア」
「マイまで、いったい魔力攻撃とは、いったいなんだ!」
「それが・・・」
2体の魔導人形は返答に詰まっていた。
イチゴほどではないが、シングルジュエルの魔導人形がここまで表情を変えているのに、ガラン殿下もフィリア姫も不思議に思っていたが、今はそれよりこの異様な状況の説明が欲しかった。
「ガラン、何があったの? この子達、あなたのところの魔導人形よね?」
「それが、俺にも分からんのだ。マイ、説明してくれ」
「はい・・・」
それから2体の魔導人形は、つい先ほどまでの自分達の状況を二人の殿下に説明を始めた。
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