第21話 襲撃 3


「ビ! ビックリしたあ・・・・・」


何がビックリしたって?

そりゃあもう、自分の体の性能にビックリしてたの。

だって、今僕が居る場所が場所だもん。

まさかちょっと力を入れて飛び上がっただけなのに、なんで王都でもお城についで高い建物、教会にある時計塔の屋根にへばりついているんだ?


『お気をつけください。ノール様は目覚めて間がそれほど経っておりませんので、ご自身の体の機能性能を把握しきっておられませんので、不用意に力を出されますと、街自体が崩壊しかねませんので』


恐ろしいこと言わないで。


『事実ですのでご注意を』


・・・はい、自重します。

それはそれとして、魔導人形達の動きはどう?


『はい、現在確認出来ている魔導人形は5体。うち2体はガラン殿下のメイド人形、あと1体はロドエル殿下のメイド人形です。残りの2体は不明です』


ミネルヴァさんが当たり前の様に報告してくれる。

でも、なんでガラン殿下のとか、ロドエル殿下のとか分かるのだろう?


『ノール様と一度でも相対したり接触したりすれば、各魔導人形の個体識別が可能になり、探知すれば即座に確認出来ます』


う~ん、なんだかインチキ機能満載じゃない? 僕って?


『慣れてください』


簡単に言うなあ、ミネルヴァさん。

と、それより後の2体ってどんな動きをしているの?


『はい2体は・・・? フィリア様に近付いています』


ガラン殿下にじゃないの?


『はい』


あれ? もしかして本当に姫様の護衛?


『それにしては2体。の魔導人形の魔力値が高くなっています。これは戦闘準備の時に見られる初動反応です』


まさかガラン殿下ではなく姫様を狙っているの?!


『現時点での状況ではその可能性が高いです』


じゃあ、ロドエル殿下の魔導人形もフィリア姫様を狙っているっていうの?


『移動方向を考えるとフィリア様に向かってはいますが、少し奇妙な動きです』


奇妙?


『はい、先行する不明の魔導人形をロドエル殿下の魔導人形が追尾している様に見えます』


うーん、良く分からないな。

どうしようミネルヴァさん?


『・・・まず追尾しているロドエル殿下の魔導人形に接触してみてはどうでしょう?』


接触?


『はい。あの魔導人形ならノール様に逆らう事はないと思いいますので』


え? そうなの?


『はい。前回の接触でノール様に対しての恐怖心が植え付けられていますから全てにおいてノール様を優先すると思います』


主人のロドエル殿下よりもって事?


『もちろんです。前回の接触から他の魔導人形の性能を推測しますと、ノール様に抵抗できるのはサードジュエル以上の魔導人形でなければ難しいと思われます』


確か、セカンドジュエルでもかなり希少な魔導人形だったよね


『はい、フィリア様の話ではサードは伝説級と言っておられました』


つまり、僕が本気をだしたら世界中の大半の魔導人形は主人より僕の命令を優先させると?


『そうですね。どうしますか?』


どうしますって?


『世界制服を実行しますか?』


ミネルヴァさん本気で言っているのだろうか?

いやいや、そんな事をしたら国相手に戦争なんてこともなりそうだし、そんな気が休まらない人生・・・いや魔導人形人生をおくるつもりはないから。


『そうですか。残念です』


本気で残念がらないでね。

それよりミネルヴァさん、彼女に接触するよ。


『了解です。ではこのまま前方1時方向に300メートル先に飛んでください』


わかった。

じゃあさっきみたいにいきなりじゃなくて、目標地点をミネルヴァさんからの計測をもとに設定して・・・よし!


ヒュン!!


・・・・・・・・・タン!

「?!!」

「やあ、昨日いらいだね」


僕は目を見開き驚愕の表情を浮かべるロドエル殿下の魔導人形の前に立った。

あれ? 昨日より表情が分かりやすくなったような?

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