Film 10. 『ダンサー・イン・ザ・ダーク』

 2000年のデンマーク映画。2時間20分。パルム・ドール受賞。

 目を覆う悲劇とあまりに美しい心を描くミュージカル。


 歌とミュージカルを愛する女性・セルマは、息子共々先天性の「視力が低下していく病気」に悩んでいた。治療にはお金がかかる。母子家庭で工場勤めのセルマには、長年かかって一人分の手術費を稼ぐのがやっとだった。

 セルマの治療はすでに手遅れで、やがて失明する。けれどセルマは、稼いだお金をすべて息子のためにあてられればそれで幸せだった。しかしある日、借金で首が回らなくなっている知人に、自宅に溜め込んでいるお金の話をしてしまう……。


 知る人ぞ知る陰惨な映画。観終えて立ち直れなくなった心優しい人は数知れず。

 さすがにこれをクリスマスに推すのは言い訳できない……と思うところですがちょっと待った!


 なんと! 来たる12月24日、日本における4K版全国上映が決まったのです! 責任者はどこか!

(※24日は渋谷の映画館。全国は今月10日から順次)(※高知および中四国は全国じゃないのでありません。知ってた!(´;ω;`))


 そんなイベントにかこつけて紹介してしまおうという魂胆ですが、映画として殿堂入り級にイチオシなのは本当です。

 物語はとにかく悲劇的で他の追随を許しませんが、同時に主人公セルマの清らかな心と健気な意志の強さもまた、類を見ないほどのもの。

 本作は同監督による他の二作と合わせて『黄金の心三部作』ともされています。

 悲劇が深ければ深いほど、セルマの心の美しさが比類なく輝く。演じたアイスランドの国民的歌手・ビョークの繊細な歌声が、彼女の高潔さをより高みへ向けて彩ります。


 はっきり言って人を究極的に選ぶ作品。「なぜこんなものを撮った!?」と感情的になる人が出てきてもおかしくはないでしょう(その点は監督が監督なのでしょうがないですね)。

 そんな限界突破気味の作品をあえてクリスマスに。特に劇場で観たとなれば、一種の勲章のようなものにはなるでしょう。そして忘れられない思い出になることだけは間違いなし!チャンスは今だけ!!!

 立ち直る方法は、各自で考えておいてくださいね♡


 それではメリークリスマス! 今日で折り返し、あと10日です!

 明日からは、クリスマスムードマシマシでお届けします!

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