Film 5. 『アンドリューNDR114』

 1999年のアメリカ映画。2時間14分。

 ある人型家事ロボットの“人生”を描いた、愛と感動のSFドラマ。


 とある近未来。量産型家事ロボットNDR114が、娘二人の四人一家・マーティン家に買われてくる。人型ながら見るからに鋼鉄製、杓子定規な受け答えができるだけの従順なロボットだったが、家長のリチャードは彼を人間として扱うことに決め、アンドリューと名付けた。

 アンドリューはジョークと工作の技術をリチャードから学び、人を喜ばせることの喜びを知っていく。やがて恋をもするようになったアンドリューは、人間らしい“自由”に憧れるようになるが……。


 原作者はアイザック・アシモフ。SFの大家ですが、物語はシンプルです。

 まじめでユーモアのある心優しいロボットが、暖かく愛情深い人々に囲まれているうちに、自分も人間になりたいと願うようになる。一途でいじらしい一人の“男性”・アンドリューの、自身の“生まれ”に悩みながらも懸命に歩んだ軌跡がまっすぐに胸を打ちます。


 アンドリューに感情を与えるきっかけになった序盤の出来事がとてもステキです。

 まだただのロボットだった彼は、やがて最初に恋をするある人の、大切にしていたものをうっかり壊してしまいます。

 当初はロボットらしくそのことに戸惑うだけの彼でしたが、持ち主の悲しむ姿を見て、贖罪の方法をみずから見つけ出し、実行します。


 そういった日常の出来事の積み重ねが、彼に感情を芽吹かせていく物語のキモとして、穏やかに丁寧に描かれています。同時にその端々から、人間らしさとは何か、と自然に問いかけてもくるのです。

 人間の本性について、荒んだ見解ばかりがはびこっている気もする昨今ですが、彼のような人こそ“人間”だと、あなたは最後に思うはず。


 クリスマスは穏やかな気持ちと人の温かみを思い出すための日でもあるそうです。

 ご家族、ご夫婦、そして恋人同士でいかがでしょう?


 残りあと15日。お役に立てれば幸いです。ではではメリークリスマス!

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