【完結】チート武器だけあればいいので、異世界人は地下迷宮に捨てておきます
廿楽 亜久
1章
第1話 自己都合で退職します!!
「えー……明日でいいですか? あ、私休みだ。明日、
唐突でも何でもない。
このご貴族上司共は、部下の管理が仕事だというのに、管理はしない。やりたくないものは誰かがやってくれるまで放置。
今回だって、こちらのミスで本来は今すぐに謝りに行けば、向こうもまだ気にも留めないような、とても素早い気付きだというのに、放置して、悪化させる。
下の人間が辞め過ぎて、チームリーダーの数が部下を上回り、辞職理由に名指しされてもいて、それでもみんなが悪者だと、自分の方が精神的にきついのだとぼやいているらしい。
だから決めていた。
本当に手が出ると思ったその日、退職届を出そうと。
「日下部さん。もう少し頑張れない?」
人事部に申し訳なさそうに聞かれる。
ハラスメントとして、半年前に退職を考えていた同僚が相談し、私も証人として参加していた。
その時も、常勤を辞めさせるには手間がかかるし、段階的に進めて行かないといけないと言われた。
「退職するって決めた人のためには、こちらも強くは動けないんです」
「……今回の件は突発的ではあります。再就職先も考えていませんから、もしあの人たちが退職か県外異動となるなら、まだ頑張れます」
部署に戻った時だ。部長がドアの前に待っていた。
「日下部さん! 最近態度が悪いけど、言いたいことがあるなら話し合おう! 石ノ森さんと相川さんも一緒に」
「
「そう!」
これは明らかなパワハラだろ。
「
「何が嫌なの!?」
「
「第三者? 宇賀田さん? 呼べばいいの?」
人事部に来てもらって、話し合いの場が設けられたが、吐き気がするほどの嘘と取り繕いと労いの言葉。
「再三伝えてきたことだけど、新しく入ってきた人が1年以内に退職し続けて、3年目が一番の若手で、その3年目も、残り日下部さん含めて2人だよね?
この状況をどう思ってる?」
「人手不足もあり、私も忙しく、部下の様子が見れていなかったことはあります。私も残業続きで、ノイローゼ気味でして……ですから代わりに周りの見れる石ノ森さんと相川さんに見てもらっています」
「そのふたりは、以前3人退職された際に理由として上げられたふたりですね。その後、改善はされましたか?」
俯いて何も言わないふたり。
ここで言いにくいのであれば、個人で話そうと、他の人は部屋の外に出るように言われ、外に出る。
「おふたりは業務もあるでしょうから、準備ができ次第連絡します。日下部さんは、ここで待っててください」
自販機の隣の椅子に座り、手持ち無沙汰にそわそわしながら待つ。
一緒に戻って仕事をしろと言わない辺り、人事部も現状をそれなりに問題として見てくれているということだろう。
ふと、足音が遠ざかっていないことに気が付き、足音を忍ばせて移動し、窓ガラス越しに覗き込めば、窓ガラスに映り込んだふたりの姿。
貴族共の自由過ぎる行動に、思考が一気に冷め込んだ瞬間。
突然現れた足元の魔方陣の光に包まれた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます