♡キノコを食べたらさようなら♡

x頭金x

第1話

 僕は高校の体育館裏にあるキノコを食べさせられて死んだ。死後の世界ってのがあるってことをどうやって死前の人に伝えることができるのかと死んでからずっと考えていたが、どうやら無理なようだ。


「なんとかならないですか神様」


「それは無理なんだねぇ」


「そこをなんとか」


「それ教えちゃうと死んだ後の楽しみがなくなっちゃうじゃん」


 神様は沢山いる。詳しく言うと、元は1人だか、一つだかで、それが死んだ生命分、分裂して存在する。つまり神様は生命の数ほどいるのだ。だから僕の相手をしてくれている神様を僕が独占しても、あなたの分の神様はちゃんと存在しているから安心して。


「ねえ神様、僕の死に方も、あなたが考えたんだよね?」


「まあね」


「何であんな死に方を?」


「可能性は無限にあるからね。その一つだよ」


「僕じゃなくてもよかったんでは?」


「違う人が君の死に方をすることになっただろうね」


「なんで僕にしたんですか」


「明確な理由はある。けど、ここではそれを話す暇なんてないんだよ」


 僕は納得がいかなかったので僕にキノコを食べさせた連中がここに来るまで、ここで待たせて欲しいと言った。


「それは出来ないんだよ」


 と神様は言った。


「キノコを食べさせたのも君だからね」


 僕は目が覚めた。正確に言うと死後の世界とは別の世界で目が覚めた。


「お、やっと起きた」


「ステージクリアならず」


 僕にキノコを食べさせた2人がそこにいた。僕は全てを思い出した。僕は神様だった。僕たちは神様だった。三位一体で同時にこの世界を創った3人が僕らだ。僕らはあまりにも暇だった。全てを知ってしまっていたから。だから全てを忘れるゲームを創った。そのゲームをしていたのだ。キノコを食べさせられたら負け、食べなかったら勝ち、のゲームを。僕はこのゲームを2京675兆8790億5万796回やっているが、またしても負けてしまった。


「ああ、またクリアできなかった。そっちは?」


 と僕は2人に聞いた。2人も同じゲームにチャレンジしている。2人ともまだクリアできていない。


「じゃあ、もっかいチャレンジしてくるわ」


「俺も」


 2人はそう言ってまたゲームを始めた。僕もまた始めるのだろう。

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