♡女の子の虫の落とし方♡

x頭金x

第1話

 学校帰り、街路樹に張り付いている虫を見かけた。卓馬と浩二と凛子と夏姫は、一度帰宅して、それぞれ虫捕りの道具をもって集合した。


『眼鏡の宝田』の前にあるその街路樹は、昔から虫害に悩まされているのだと店長の宝田陽介は語った。


「何をしても、気づいたら虫が湧いてるんだよね」


「僕たちに任せてください!」と卓馬。


「切ろうとは思わなかったんですか?」と凛子が宝田に聞いた。


「切ろうとも思ったんだけどね、ほら、やめてって、泣くから、虫が」


「泣いて懇願だって?」と浩二。


「そうなの?」と夏姫が虫に聞いた。


「う、うん…帰るとこも…ないし」


「だからってずっとここにいちゃあみんなの迷惑でしょう」と凛子。


「う、うるさい!!うるさい!!お前らガキに大人の気持ちがわかってたまるか!!」と虫。


「働いてない大人は図体がでかいだけの子供よ」と凛子。


 卓馬は「まあまあ」と言って、持ってきた就職情報誌を虫に渡した。


「いるかこんなもの!!」と言って虫はそれを放り投げた。


「だめだよ卓馬、虫を採るにはこれだよ」と言って浩二が風俗情報誌を渡した。


「なめるな!!」と虫はそれも放り投げた。


「い、今はボランティアが月一で処理してくれるんだ!!へ、へへ、ガキだから知らないだろう」と虫。


「お前らは何を持ってきたんだ?」と卓馬が凛子と夏姫に聞いた。


「私たちは別に…」と2人は言った。


「なんだよお前らーやる気あんのか〜?」と浩二が言うや否や、2人は虫の耳元で囁いた。


「私たちが、処理してあげようか?」


 しばしの沈黙が一帯を包んだ。その沈黙を破ったのは、虫が樹から下りてくる音だった。


 虫は凛子と夏姫の顔を交互に見ながら、鼻息が荒くなっている。後日めでたく逮捕された。

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