第13話

最後の一冊。


出だしには、私の名前があった。






最近は調子がいいから、本を読んだりテレビも見られるんだけど、そうしたら、たまたまつけた番組に絢香が映ったの!


バラエティーのアシスタントかな?


でも、やっぱり絢香はすごい。


あの頃は一緒に並んで歩いてたのに、今は背中も見えない。




また、絢香に会いたいな。



連絡先、変わってないかな?



うだうだしてちゃダメだよね、これをきっかけにまた連絡を取りたい!






メッセージの返事来た!


直接じゃないけど、また絢香と話ができて嬉しい!





心配かけたくなくて、ちょっと見栄を張っちゃった。





嘘、吐いちゃった。


本当は絢香に会いたい。


でも、こんな姿見せたくない。


だから、ごめんなさい。







最近、よく意識が飛ぶ。


3、4日寝てる、なんてこともある。


絢香への返事、できてないな。







体調が悪い。


何で、私だけ?


私、何か悪いことしたのかな?








読み進めたページには、濡れて、乾いた跡が幾つもあった。









絢香、仕事忙しくてしばらく連絡取れないかもって。



あーあ。


こんなことなら、ちっぽけな見栄なんて張らないで、嘘なんて吐かなければよかった。



……ちゃんと、話せばよかった。



私が好きだって言ったら、絢香、どんな顔するのかな?



きっと困らせるよね。

だって絢香は〝友達〟として、私と一緒にいてくれたんだから。


気持ち悪いと思われるかな?



絢香が男の子だったら、って思ったこともあった。


だってそうすれば……。





ううん、でもね、違ったの。



男の子とか女の子とか、そんなの関係なかった。




私は、大森絢香という人間を好きになった。





うん。

私はやっぱり。





───絢香が好き、大好き。





体調がよくなったら、ちゃんとメッセージを送って。


それで直接会って、ちゃんと伝えよう。



頑張れ私!


ファイトファイト!!












日記は、ここで終わっていた。

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