第10話

高校の入学式



入学早々、知り合いのいないクラスになっちゃったの!

同じ中学の子、結構いたと思うんだけどな〜


でも、一人でぼうっとしてたから、絢香が話しかけてくれたんだよね!


目元も眉もキリッとしてて、鼻筋も綺麗に通ってて。


かっこいい女の子だなーっていうのが、絢香の第一印象だった。








5月



入学から一ヶ月くらい経って、だんだんクラスに馴染んできたかも。


絢香ともあっという間に仲良くなれた!


そういえば、この時かな?

誕生日を聞かれたから、4月13日って言ったら、

〝めっちゃ過ぎてるじゃん!!!〟


なんて、すごくショック受けてて!


〝来年からはちゃんとお祝いするから!〟


ってカレンダーアプリにわざわざ私の誕生日登録してくれて。


遅くなっちゃったけどって、自販機でミルクティー買ってくれて。


すごく嬉しかったの、今でも覚えてる。









夏休み



絢香はバイト始めて忙しくなっちゃって、本当は遊びに誘いたかったけど、誘えなかった。


でも、終わらないからって一晩中電話しながら課題やったの。


あれ、ちょっとお泊まり会みたいで楽しかったな。


メッセージでやりとりしてるのに、早く絢香に会いたくて。


さっさと夏休みなんて終わっちゃえばいいのにって初めて思った。








日記の中の桜子は、私が知ってる、あの時の彼女そのままだった。



日記を書き始めたのはここ一年くらいの話で、高校を卒業してから随分経ってるはずなのに。


桜子は細かいことをよく覚えていた。



日記のページをめくるたび、あの頃の記憶が鮮明に蘇る。








9月



体育祭があった。


じゃんけんに負けて、リレーの選手になっちゃって落ち込んでたな〜(笑)



でも当日、持病が悪化してリレー走れなくなっちゃって。


担任の先生が誰か代走をって言った時、他の女の子はみんな何だかんだ理由を付けて、嫌がってた。


そうしたら絢香が、私が代わりに走るって、嫌な顔一つしないで引き受けてくれたの。


先輩をどんどん抜いていく絢香を、私保健室からちゃんと見てたんだ。


すっごいかっこよかった。



困った時にサッと手を差し伸べてくれる。



絢香が王子様みたいに見えたのは、ここだけの秘密。








10月



文化祭、確か一年の時はお化け屋敷をやった。


お化け役で浴衣を着なきゃいけなかったんだけど、着付けとか分からなくて。


でも困ってたら、絢香がササッと着付けをしてくれて。


一人でも着られるように、放課後の教室で着方を教えてくれた。


着付けって思ったより距離感近くって、ちょっとドキドキしちゃった(笑)





絢香が男の子だったら絶対好きになってた、そう思ってた。

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