♡みかんを剥いて♡

x頭金x

第1話

 この現状が未来永劫続くなんて何の保証もないのに僕たちは。



 何の前触れもなく飛んできたミサイルによって私たちの生活は一変した。そのミサイルは都市の破壊や人間の殺戮を目的としたものではなく、恐らくは何者かによる、便宜的にここでは宇宙人と書くが、それによる惑星侵略が目的と思われる。



 ミジンコの様な姿をした宇宙人達は、ただ徘徊している。自らと影を切り離しながら、徘徊している。


 別段危害を加えるつもりはないらしい。突如日常が壊れたその日から一月ぐらいはほとんど家から出ることが出来なかった。しかしライフラインは全て無事だったので、何とか凌ぐことが出来た。  


 一月経ち、やっと外に出たのだが、報道の通り宇宙人達に危害を加えさえしなければ安全に外を歩けるので、ある意味今までの日常に宇宙人が添えられたぐらいの日常になった。人間はすぐ慣れる。良くも悪くも。

 

 それから1年が経った。そのミジンコは我々人類にこう命令した。


「毎日朝8時に踊れ。世界の謎を解き明かす踊りを踊れ」、と。


そしてこう付け加えた。


「全裸で」


 だから私たち人類は毎朝8時に全裸で外に出てミジンコ達に向けて踊りを踊っている。


「1人でも逆らうと地球の皮を剥く。みかんのように剥いてやる」


 いつの時代でも愚者はいる。愚者は愚者故に愚者なのだ。しかしその定義と前提が変われば愚者ではなくなる。それぐらいもうこの世界の従来の法則と言うものは意味をなしていない。ご覧、もう半分近く剥かれているが今までの物理法則が変わることはなく、未だにこの世界は存在している。


 毎朝8時、今日も僕たちは全裸で踊る。向かいに住む憧れの優子ちゃんも全裸で踊っている。乳首はピンクで下は意外に剛毛だった。


 もちろん僕はいつも剥いてから踊るのだ。

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