沖縄2

 プールサイドカフェ。名前の通り、プールに面したオープンカフェ。

屋外だが、ヤシの葉で組んだ日除けがあって、プールから吹き込む風が涼しくて気持ちが良い。


「いらっしゃいませ、マダム」既に顔なじみのボーイがやってきた。


「私、ウォーターメロンのシェーキ。あとパンケーキ、マンゴジャム乗せね。」

葵の注文はいつでもフルーツシェーキだ。


「えぇと、私はダブルチーズアロハバーガーとエスプレッソお願い。」


「はぁ? 酔っぱらって浜辺で寝てた人が寝起きから肉?」


「肉食べないと筋肉落ちちゃうでしょっ」


 バーガーが運ばれてきた。

バーガーと言っても大きめのハンバーグが2枚、皿の代わりにパンに乗ってる、という感じでパンで挟んでかぶりつくことは出来ない。

ナイフとフォークでパンと一緒に食べると肉汁があふれてきて、とにかく旨い。

ハンバーグの間に挟まってるパイナップルの輪切りがアロハの所以なのだろうか。


「ねぇ結衣、そろそろ財布軽くなってるんだけど、そろそろ補充しない?」


「そうなの?オーケー、じゃ今日行っとく? ターゲットは決まってるの?」


「この前は那覇だったから、今回は、うるま市の銀行かな。」


「オーケー、じゃ、食後は軽くジム行って、ひと泳ぎしたら準備しよっか。出発は?」


「2時でどう? 駐車場集合で。」


「オーケー。」


 ホテル裏手の駐車場、滞在期間中借り続けてるレンタカーのエンジンをかける。

窓を開けて車内の熱い空気を喚起する。エアコンの風もまだ熱風だ・・。

ようやくエアコンから冷たい風が出てきた頃、葵がやって来た。


「お待たせ! 準備万端って感じだね。」


「だって、エアコンかけとかないとハンドル熱くて触れないっしょ。」


「お、結衣、運転する気満々だね。じゃぁ、任せたよっと。」


「しょうがないでしょ。葵、ハンドル握ると人間変わっちゃうからさ・・」


「失礼ね。グズグズ走ってたら周りに迷惑かけちゃうでしょ。だからよ。気配りなの。」


「いや・・、他人の車のケツ見せらるのはムカつくんだよ!って叫びながらアクセル踏み続けてるっしょ。 結構怖いんだよね・・」


「はぁ? ゴチャゴチャ煩いわよ。 とっとと出発しないと私が運転するわよ?」


「うゎっ。 出発しますですよ、お嬢様。」


「そう、よろしくてよ。」


まったく、皆は私の方が血の気が多いと思ってるみたいだけど実際は葵の方が絶対ヤバイから・・。


 午後3時過ぎ、うるま市に入った。


「葵、うるま市に入ったよ。この先は?」


「繁華街の方が目立たないし、銀行もあるでしょ。 とりあえず市役所方面へ向かって。」


たまにコンビニがある風景から、飲食店等の大型天が並ぶ通りに出た。


「この辺でどう? そこのファミレスで良いんじゃないかな。 あ、隣のスーパーでも良いかな。 結衣はどっちが良い?」


「じゃ、スーパー。ついでに買い物したいからさ。」


そう言いながら車をスーパーの駐車場に入れた。

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