♡ サボテンは駱駝の夢を見る♡

x頭金x

第1話


 ラクダはもりもりとサボテンを食べる。もう彼らの努力をこれでもかと無駄にするほどボリボリ食べる。口の中どうなってんだ。柔らかい唇で器用に咥え、ムシャるのだが、その柔らかい部分もどうなってんのだ。そこも硬いのか。硬いのに柔らかそうに動くのか。わからない。


 そんな無駄な努力だと言わんばかりに破壊する。自身の理論武装にもつながるような、浅はかな考えや、身に付けてきた処世術や、そんな何やかやを、いとも簡単に蹂躙するように、ラクダはサボテンを食べていたの。そんな瞬間を見ちゃうとね、もう、私の殻もバリバリ破られていくのが音を立ててわかったの。その音を聞いたらね、もう、いてもたってもいられなくなって、今、ここいいるの。


 全ての努力は、相対的に無駄になる。そんなことを言った学者は中世のヨーロッパで串刺しにされて死んだ。絶対的であることの幻想を人々は死ぬまで咀嚼していたいのだ。いや、いうなればそれは死んでいる状態であり、死者でありながら自身を生者だと思う倒錯した死者の戯言である。


 逆をいうなれば、それは比較しなければ唯一無二であり、絶対的なものである。だが、そんなものに価値はあるのか。スマホがあるからガラケーはいらないのである。


 

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