♡ボクの性壁♡

x頭金x

第1話

 ベランダに干していた洗濯物が乾いていない。夜中に大雨が降ったのだ。


「あなた昨日、雨は絶対に降らないって言ったわよね?」


 私は同棲中の無職の隆に言った。隆はソファでコーラを飲みながらテレビをアホみたいな顔と姿勢で見ている。


「絶対なんてこの世にないでしょ」


 隆はテレビから目を離さずに言い放った。


 ぷっつんしま〜す。


 同棲してから半年鬱憤が溜まりに溜まって今日脱憤。だからお仕置きをしま〜す。


 私は隆をソファから蹴り落とした。


「いてぇ!何すんだ!!」


「うるせぇハゲ!!働け!!」


 私は隆の首を腕ひしぎで締めながら床に溢れたコーラの中に隆の口を持っていき、吸わせた。


「やめ…ズズ…てズズ」


 次に私は隆を四つん這いにしてその上に座り、鼻に指を突っ込んでめくりあげながらセイウチのモノマネをさせた。


「ウゴーウゴー!」


 そして髪の毛を無邪気に切り落として味噌汁の具に入れて食べさせたり、麻縄で体を縦横無尽に縛り付け炎天下の車のボンネットに放置したり、脛だけをずっと重点的に博多人形で叩き続けたりした。だがそれが間違いだった。


「ありがとう。ボクの性癖に気付いてくれたんだね」

 

 それからが大変だった。毎日毎日お仕置き考えて実行しなければならない。あんたも考えてよ、というと、お前が考えろ、とわざと悪態をつき、私のお仕置きを待つ始末。やれやれ。SとMの関係では確実にMの方が立場が上なのだ。


今日はアパートの駐車場で、逆さに置いた自転車の上に、裸に剥いて手足を縛った彼をクレーンで吊るし、ペダルを手動で回して車輪を高速回転させた。彼の一物が隆起したら丁度車輪に触れる程度の距離を見つけるのに苦労した。


「これぐらいで良いですかね?」と業者の人がクレーン車の中から聞いた。


「もうちょっとだけ左でーす。あ、行き過ぎです。ほんのちょっとだけ右に」


 苦労した甲斐あって、彼は喜んでくれた。車輪が擦れる度に恍惚の表情と快感の嗚咽を漏らす。損な役回りだ。喜びを与える側っていうのは。


  隆は今日も涎を垂らしながら私のお仕置きを待っている。

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