♡商売繁盛♡

x頭金x

第1話

 雑居ビルの一階に入っている中華料理屋で働いている小館聡は、休憩時間に店の裏の小径でタバコを吸っていた。


 そこはビルとビルに挟まれた場所で、室外機と換気扇の音がひっきりなしに鳴り響いている、油っぽく、ドブ臭い場所だ。壁は積年散り積もったもろもろでヘドロのようにベタ付いている。だから絶対に触らない。なのでそんな所で商売をしている5階の高畑さんたちは大変だなと思う。客や自身にそのベタベタが付かないように、壁に毛布をかける。その毛布は固定しなくてもそのベタベタが固定してくれるので、道具はいらない。何日かはその場所でその毛布が使えるが、数日も経てばベタベタや、色々な液体ですぐに使えなくなる。だから壁中に、沢山毛布がかかってある。そこに客の背中をつけて尺八をしたり、手をついて突かれたりしている。お互いへの配慮ってやつだね。


「僕はまだお世話になっていないし、お世話になるつもりもないけれど、うちの店長はよくお世話になってるよ。高畑さんがうちで頼むチャーシューメンと餃子とビールのセットは、実質店長のお金だよね」


 店が混んできた。高畑さんたちも商売繁盛だろう。

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