♡鍵を掛け忘れた美枝ちゃんのアパート♡

x頭金x

第1話



「あ、鍵かけ忘れた」


 調布のクリーニング店で働いている深田美枝は、客のワイシャツにアイロンをかけている時にふと気が付いた。

 

 気になり始めると止まらなくなる美枝は、シワを伸ばすよりも、出掛けの自分に対する叱咤に注意が向く。


「なんでこんなに私はドジなの、バカ!」


 アイロンを乗せっぱなしにしていたワイシャツから煙が上がる。


「美枝ちゃん!!アイロン!!」


 店長からの指摘で気付いた時にはもう遅い。白いワイシャツに大きな焦げ跡が。


「ああ、またやってしまった。本当に私って…」


 深田美枝がクリーニング店で深く落ち込んでいると同時刻、口元に大きなホクロのあるセールスマンが、深田美枝のアパートのチャイムを鳴らした。


「深田さーん、○X銀行でーす」


「開いてますのでどうぞ~」


「あ、失礼しまーす」


 口元に大きなホクロのあるセールスマンは、深田美枝のアパートに入っていった。


 




 しばらくしてセールスマンが美枝のアパートから出てきた。


 その口元には、ホクロがなかった。

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