【5話 もう一人のサラ】
サラは笑顔を作りながらカメラに向かって手を大きく振る。
『みんなー、やっほー! みんなが大好きなサラだよー!』
サラは片手を耳に添えた。
『え、サラの事はそんなに好きじゃないって!? そんなぁ、ひどいよー! そんなこと言わないで、これからも仲良くしていこう、ね?』
サラの遠くにいた大人の女性は、サラに向かって叫ぶ。
『サラちゃんって、最近なにかいい事したの?』
『サラは毎日いい事ばっかりしてるよー!』
微笑みながら頭を撫でるサラ。
『って、誰も突っ込んでくれないと、本当に聖人になっちゃうじゃない!』
『サラちゃんは既に聖人だよ。だって、最近いい事してるのいろんな人が知ってるからさ。そのことについて、みんなに話してみたら?』
(ん、最近したいい事? 世界が平和になるように祈ってたこと? って、そんな所を見られてたの!?)
サラは顔の近くで手を合わせる。
『あーあー、アレね!』
『そう! サラちゃん本当にいい人だよねー。子供のファンこれから増えるんじゃないかな?』
『ん?』
『女の子の探し物一緒に手伝ったんでしょ?』
(え、あのスタッフさん何を言ってるの? そんなこと最近した覚え無いんだけど)
サラは硬い笑顔を浮かべる。だけど、すぐに柔らかい笑顔に浮かべ直した。
『うん、困ってる人がいたら放っておけないからねー! しかも、子供でしょー? 大人が子供の力になってあげるのは当然のことだよー! あっ、アタシもまだそんなに大人じゃないけどねー』
頭を撫でながら舌を少し出すサラ。
大人の女性は目を輝かせながら叫ぶ。
『サラちゃん素敵すぎるでしょっ!』
(何とか話合わせられたけど、みんな誰と誤解してるんだろう?)
サラは続けてカメラに向かって喋り続けた。
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