第31話

「では、調味料でしょうか?」


「そうね、醤油、味噌、後はハーブ類とかかしら?」


「醤油、味噌?申し訳ありません。耳にしたことがありません」


「そう… では大豆を使った調味料はある?」


「大豆?材料になりますか?」


「そうよ。」


「取り扱いはありませんが、取り扱っている店があったと記憶しています。」


「液体?それとも粘土状の物かしら?」


「申しわけありません。そこまでは…勧められたのですが仕入れてませんので…」


「そう…それはそうね。では、お試しをもらえるとかはできる?どんなものか見てみたいし、使ってみたいの」


「それは可能です。使用できるか確認すると言えば、ある程度の分は譲ってもらえます」


「では、お願いしたいわ」


「かしこまりました」




「ありがとう。後はハーブ類はある?こちらでは香草とかになるかしら?」


「香草ならございます。」


「良かったわ。全種類試したいわ。ある分だけで大丈夫よ」


「かしこまりました。他にもございますか?」


「細かくてごめんなさいね。小麦粉の種類はどのくらいある?」


「小麦粉の種類?」


「ええ、パン用、フライ物用とかあるでしょう?」


「申しわけありません。小麦粉は1種類しか扱いがございません。」


「パンもフライ物の同じ物をつかっているの?」


「使用目的までは、私は仕入れしか担当していませんので」


「そうだったわね。では、問屋さんにもないの?」


「問い合わせれば、あるとは思いますが…」


「では、それもお試しをお願いしたいわ」


「かしこまりました。」




管理番の頬は若干引きつっているのが見えた。




こんなにいろいろ聞かれると思っていなかったのだろう。しかも、こんなに細かく。


予想外だった筈だ。管理番は本来の仕事が出来ない事を思って時間を心配してるのが見て取れる。




私も前の生活では仕事をしていた身だ。管理番の心境がわからないはずがない。


しかし見えないふりをする。




なにせ、交渉は始まったばかりだ。確認したい事はまだまだある、管理番を何度も呼び出す訳には行かないのだから。この1回で大まかな事は把握しておきたい。


管理番、自分優先でごめんなさい。


心の内で侘びながら私は話を進めていく。




「それから… 」


確認事項を管理番に尋ねていく。




管理番は夕方まで本来の仕事ができなかった。




申し訳ない…

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