第43話 一人の少女の願い
事情聴取を受けたり、待平の件で学校が休みになったり、色々と
まず、待平が例の連続失踪事件の犯人だと警察に
また、笠根が反りの合わない待平にどうしてついていったのか、その理由だが、「
そして今、界斗と佐久間と天使と悪魔、美衣香の五人が、佐久間の部屋に集まっていた。
場所が佐久間の部屋なのは、集合をかけたのが彼女だからである。
ちなみに、彼女がどうして彼らをこの場に呼んだのか、界斗はその理由を聞かされていない。
悪魔はすでに理由を聞いているようで(ていうか悪魔は佐久間の家で寝泊まりしているらしい)、美衣香をこの場に呼んだのは悪魔の提案らしい。
「さて、私たちの未来を決める話し合いを始めましょうか」
佐久間はそう切り出した。口調に重々しさは
「すでにあっくん――あ、彼のことね――と話し合って彼の了承は得ているの。あとは天使さん――何と呼べばいい?
神様――その言葉を彼女が口にしたとき、彼女は美衣香に目をやった。
「え? ……まさか、美衣香ちゃんが神様?」
「ええ、そうよ。――ですよね、神様」
佐久間に話を振られた美衣香は、一度ゆっくりと
「そうじゃ」
淡々とそう答えた。
「正確には、美衣香の体を借りているということになるがな。ところで、いつ
佐久間は、隣に座る悪魔に返答を
「あんたの正体を疑うきっかけになったのは、警察を呼ばないほうがいいとあんたが言ったことだ。確かにあんたの言うように警察の介入によって犯人が刺激される可能性もあるが、それでも警察はプロだ。犯人を刺激しないように隠密に行動することもできたはずだし、通報すれば何かしらのアドバイスなどをもらえたはず。にもかかわらずあんたは警察の介入を
警察に関する知識は、この世界に飛ばされてくる際に神から悪魔に与えられていた。まさか神もその知識がこうして自らの正体をバラす材料になるとは思いもしなかっただろう。――いや、これすらも神の思い通りということなのだろうか。
「始めは待平との繋がりを考えたが、どうにもしっくりこない。そこで別の視点で考えてみた。あんたは警察の介入を
美衣香、もとい神は何も言わない。
「それに、やけに界斗の居場所に向かうまでは積極的だったあんたが、実際の救出の際にはサポート役に
天使は無表情に悪魔の顔を見つめている。彼女が美衣香の正体に気づいていたのか、その顔からは分からない。
「あんたが神だと考えたら、色々なことに
悪魔の話を聞き終えた神は、ゆっくりと両手を持ち上げて、
「素晴らしい!」
ぱちぱちと拍手した。
「いや~、まさかそこまで見られているとは思わんかった。すごいぞ悪魔、我は今の推理劇とても楽しませてもろうたわ。ただな――」
神はそこで神秘的な笑みを浮かべると、
「我にも未来は分からぬよ」
神は拍手を止めて、その両手を正座した
「悪魔と佐久間が我らと合流できるかも、伊予と天使が現場に駆けつけるかも、我には分からなかった。……ただ、そうであってほしいとは思った。お主たちも見たじゃろう。
神は界斗に問う。
「……そうですね、僕が今ここにいることができるのは、助けてくれたみんなのおかげです。――もちろん、杏ちゃんやあっくん、それに神様のおかげでもあります」
神は目をぱちくりとさせた。
そんなに意外なことを言ったつもりはないのだけれど――と界斗は思いながら、言葉を続けた。
「神様が待平の部屋を佐久間に伝えなければ、僕は殺されていました。
神様が田辺に待平を追跡するよう言わなければ、僕は誰にも見つけてもらえないまま殺されていました。
神様が失踪事件のことを言い出さなければ、誰も
――ほら、神様のおかげですよね」
神は何も言わなかった。
穏やかな笑みを浮かべ、ほんのちょっぴり頬を赤く染めていた。
界斗は佐久間に話を振る。
「で、この話し合いの主題は?」
それを聞いた彼女は、曇りのない天使みたいな笑みを浮かべて、こう言った。
「友達同士の
ああ、それは大切な議題だなと、彼は思った。
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