第150話 ふり幅が大きい心境の変化

 平の性別は、心も体も一致していて、『女』です。

 多分、ちゃんと納得して一致したのは、そうだなぁ・・・・成人近くなってから、じゃないかなぁ。


 小さいころね。

 周り(親戚とかね)には、男の子が多かったんだよ。

 だから、男の子たちと一緒に遊ぶでしょ。

 同じように行動するでしょ。

 そうするとね。


『遊は女の子なんだから、胡坐なんてかいちゃいけません』

『遊は女の子なんだから、そんな大きなクシャミしちゃいけません、みっともない!』

『遊は女の子なんだから、そんな乱暴な言葉を使っちゃいけません』


 ってね。


【女の子なんだから●●しちゃいけません】


 って。

 わたしだけが、怒られるのよ。

 それがものすごく、嫌でね。

 全く納得できなくて。


 好きで女に生まれたんじゃないっ!

 わたしだって、男の子に生まれたかったっ!


 って。

 反発するようになっちゃった。


 まぁ・・・・これは、あれだね。

 強制されればされるほど、イヤになる、っていうヤツだね(^^;

 恐らく、最初から一致はしてたはずなんだけど。


 だから一時は本当に反発して、わざと男の子っぽく振舞ったりね。

 一人称を【ぼく】にしてみたり。


 周りもわたしがある程度成長すれば、それほど口やかましくは言わなくなるから、そのまま育ってしまい(笑)、かなりガサツでザッパな人間が出来上がってしまいました!

 さすがに、一人称は「わたし」に戻ったけど、なんだろうね?

 まず、制服以外のスカートなんて、ほとんど履かなかった。

 そして。

 ファッションにはかけらも興味が湧かなかった。(ファッション雑誌なんて、未だ一回も買った事が無い)

 お化粧もね。

 20歳過ぎてからかなぁ?

 仕方がないから、しはじめたの。

 だって、その時の就活準備で言われたんだもの。


【女性のお化粧は身だしなみです。男性が髭を剃るのと同じです】


 って。

 ・・・・今考えれば随分古いよね。

 なにそれ。


 そんなわたしですが。

 ちょうどその頃くらいかな。

 当時親しくしていた男子にね。


「足くらい閉じて座れ」


 って言われたんだよねー(笑)

 結構口うるさい人だったんだよね、その人。

 おまけに、ちゃんと「女の子」している人がタイプだったんじゃないかなぁ?

 ・・・・じゃあなんでわたしと一緒にいたんだよ、まったく。

 でもまぁ。


 もーうるさいなーっ!

 余計なお世話じゃっ!


 って思いながらも、惚れた弱み?とやらで仕方なく直し。

 だから、この頃なんじゃないかなって思うんだよね。

 心と体の性別が『自分の中でちゃんと納得して一致した』のは。


 その後社会に出ると、『ガサツでザッパ』なんて、それが『個性です』って通じる方が少ない時代だったから、【それなりに】徐々に、周りに合わせて行くようになって。

 そうするとね。


 言葉遣いや所作の美しい人


 に、憧れるようになるんだね。

 不思議。

 それは別に、性別云々は関係なくて、だけど。


 そんな憧れを抱きつつ。

 でも、身に沁みついた言葉遣いや所作なんて、簡単に変わるものではないからねぇ(・・;)

 なので、ある夏の暑い日に


「こう毎日暑いと、参っちゃうよねー」


 なんて口にしたところ。


「『クソ』とかいう汚い言葉、あまり使って欲しくないな」


 と、言われてしまいました(+_+)


 いやぁ。

 目からうろこ。

 確かに、『クソ』だけ切り離すと、それは汚い言葉だけれども、『クソ暑い』って、普通に使いませんか?やっぱり、わたしの感覚がまだおかしいのかな。


 指摘されてから、その人の前では使わないようにしよう、って思ってはいたものの、日ごろ使ってると、つい口から出てきてしまうのだよねー。

 なので。

 日常でも使わないよう、心がけるようになって。

 今ではもう、ほとんど使ってないんじゃないかな。

 多分ね。


 正しい言葉、綺麗な言葉を使う人になりたい。

 美しい所作を身に着けるのは難しいとしても、せめて、人を不快にさせないような所作を心掛けたい。


 そんな事を思う日がやってくるとは夢にも思っていなかった、子供時代。

 あの時、周りの大人の言葉を素直に受け入れていれば、今頃憧れの『言葉遣いや所作の美しい人』に近づけていたのかも?なんて思う時もあるけれど。


 無理だし。

 頭ごなしに全否定されて強制されたものが、身に付く訳なんて無いし。

 でもまぁ。

 今だから言える。

 教えてくれてありがとうって。

 あの時のわたしには、とてもじゃないけど、言えなかった。

 感謝の気持ちなんて、欠片も無かったからねぇ(笑)

 それこそ。


 あーもう、うるさいなぁっ!


 って感じだったから(爆)


 あの時注意してくれてた人が今のわたしを見たら、どう思うかなぁ?

 ずっと成長を見続けてくれてた家族や周りの人たちは、どう、思っているのかなぁ?

 それはわたしにはわからないけど。

 こんなわたしが確実に言えることが、ひとつだけあるとしたら。


 小さな子供にそんなにやんややんや注意しなくたって、自覚したら、自然となるようになるものだよ♪


 あー、でも。

 毒吐く時は、相変わらずの言葉遣いだけどね。

 日頃綺麗な言葉を使っている人って、毒吐く時も綺麗な言葉だったりするのかなぁ?あぁ、そもそも、毒を吐くとかも、無いのかな。

 残念ながら、わたしにはそれは、無理そうだ>⁠.⁠<


 憧れは、憧れだけで終わるのかしら…う〜ん…

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