クリスマスの日

 街は煌びやかな飾り付けで彩られていた。

 しかし、私は外に出る気にはなれない。


 理由はいくつかある。

 まずこの寒波の中、足元から登ってくる冷気に耐えられそうにないこと。

 冷え性の私がわざわざ体調を崩すリスクを負う必要はない。

 

 また、正直イルミネーションは見飽きた。

 この歳になるとライトアップしたサンタやトナカイが可愛いと思わなくなってきた。


 さらに、食事をしようものならいつもより割高になるのを覚悟しなければならない。

 クリスマス限定メニューなどという聞こえのいい言葉で私たちからお金を搾取するつもりなのだろう。


 そう。合理的に考えればわざわざ今日外出する必要性はない。

 今日は一人で家でアニメでも見て過ごそう。


 そう思って携帯を開くとメッセージが一件きていた。



『今日、今から時間ある? 今年一番の寒波らしいけど、綺麗なイルミネーションが見える美味しいレストラン予約したんだけど……』



 私はすぐに返信した。




『行きます!』


 

 

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約1分間読書 【スキマ時間に読める話】 師走 ゆう @shiwazu_yuu

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