プロローグ2

あの飲み会から1ヶ月ほどして、

噂のhanaさんが会社に顔を出しに来るらしい。


現場には関係ないのかと思いきや、

あちこちから「hanaさん来るって!」と

みんなソワソワしている。


そんなに人気なのか…?


「坂下ぁ、hanaさん会ったことないんか?」


ベテランの島さんからも

まさかのhanaさん会ったことないんか?と!


「そっすね。人気なんですね。hanaさん。」


「ええ子やでぇー!挨拶しとかなあかんぞ

戻ってきたら絶対お世話になるからな!」


はぁ…?なんで絶対お世話になるんだ?

hanaさんて事務でしょ?関係ないのでは?





昼過ぎ。

「お疲れ様ですー!」

外から聞いた事のない女性の声がした。


そっとドア越しに見る。


ぽっちゃりした女性が抱っこ紐で赤ちゃんを抱いている。


部長と楽しげに話している。


あ、こっちにくる。


「…!お疲れ様です。」


俺に気付いて、にっこりと会釈してくれた。

そのまま階段を登っていく。


うーん…可愛いか?

そこまで特別な感じはしない。

どこにでもいるような普通の女性。



2階からも楽しげな声が聞こえてくる。


行く先々で笑顔が溢れている。

それだけ好かれてるってことか…。



hanaさんが来ているからなのか

部長がなかなか現場に出てこないので

確認したいことを事務所まで聞きに行く。



案の定、hanaさんを囲んでみんなで話している。


ドア越しにじーっと覗いていると

「お!なんや坂下!」と部長が気づく。


「hanaさん初めてやろ?」


「はじめまして。hanaです。」

にっこり。


「あ、はじめまして坂下です」

ぺこっ。


「5月に入社したばっかりやねん」

部長が説明してくれる。


「あ、そうなんですねぇ。

私4月に復帰する予定なので、それまでご迷惑おかけしますが復帰したらまた宜しくお願いします。」


「あ、はい!すんません!」

ぺこっ!


なんか、めちゃくちゃ怖い。

前もっていろんな話を聞かされていたからか

めちゃくちゃ緊張した。


そして、にっこりしながらも

全く動じることなくスラスラと話せるhanaさんは

俺の事なんて全く気にしていないようだった。



やっぱ、苦手なタイプかも。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る