第2話 学園生活



「マジかよ、ドンマイ」


「はぁ……まさかあんな事されるなんてなぁ」


 告白どっきりの翌日、俺は友人である井岡信(いおか しん)に昨日の放課後の事を話していた。

 

「てか、あいつら酷くないか? それってお前を笑い者にしようとしたってことだろ?」


「まぁでも、そこまでからかって来なかったし……それに揉めるのとか面倒だからさ」


「でも完全にお前の事を舐めてるって事だろ? ムカつくな、一回絞めるか?」


「やめろ馬鹿」


 井岡は中学時代に知り合った友人で元不良だ。

 中学時代は全然学校に来なかったり、煙草を吸っていたり、盗んだ自転車で川に落ちたりしていた。


「でも良い趣味してるぜ、そんな事して何が楽しいんだか」


「もう終わった事だし良いよ」


 そう、俺のラブコメ展開はどっきりで終わったのだ。

 これからも俺の人生は普通に過ぎていく。

 高校生活で彼女なんて出来るとは思っていない。

 そもそも、高校時代に彼女や彼氏が居たという割合はかなり低いらしい。

 俺の場合はきっと社会人になってからやっと始めての彼女が出来る感じだろう。

 そんな事を考えながら貴重な休み時間を井岡と過ごしていると意外な人物が近付いてきた。


「あ、あの……石嶋君」


「え? あ、堅山さん」


「あ? 堅山?」


 近付いてきたのは昨日俺にドッキリを仕掛けた堅山さんだった。

 ドッキリとはいえ昨日俺はこの子に告白されたのか……思い出すとやっぱりあの時の堅山三は可愛かったなぁ……あ、やべ……思い出したら泣きそう……。


「昨日はごめん……あんな事して」


「あぁ、良いよ良いよ。俺みたいなのが堅山さんと釣り合うわけ無いし」


「良い趣味してるよなぁ、そんなドッキリ仕掛けるなんてよぉ。ドッキリで良かったな石嶋? こんな女が彼女なんて後々苦労する所だったぞ」


「おい井岡!」


 井岡の厳しい言葉に俺は声を上げる。

 井岡も俺の為に言ってくれているのだろうがここでそれをいうのはまずい。

 下手したら堅山が泣いて、カースト上位層の連中が井岡に突っ掛かってきて喧嘩になる。

 そしてカースト上層の奴らが全員死ぬ!!

 それはまずい!

 

「ご、ごめん……本当に」


「も、もう良いから! 井岡。俺はもう許してるからもう言うな」


「っち……お前がそう言うなら良いけどよ」


「あ、あの……それでね!」


 そう堅山さんが言いかけた瞬間、教室のドアが開いて先生が入って来た。

 

「あ、授業始まるね。堅山さんも席に戻りなよ」


「う、うん……」


 なんだか寂しそうん表情で堅山さんは席に戻って行った。

 まぁ井岡にあんな厳しいことを言われたらなぁ……てか、ちゃんと謝りに来ない吉岡達カースト上位層の方が俺はムカつくんだが……。

 そんな非日常なイベントがあった日の翌日は俺のいつも通りの日常だった。

 いつも通り授業を受けて井岡と昼飯を食べて午後の授業を受けて放課後を向かえる。


「おい石嶋、帰り駅前のラーメン食べて行こうぜ」


「おう、小遣い昨日貰ったから付き合うわ」


「お、じゃぁごちそうさん」


「なんで俺が奢らなきゃいけねーんだよ!!」


 俺と井岡はそんな話をしながら教室を出た。

 教室ではカースト上位層の奴らが大声を出して笑っている。

 カースト下位の大人しい奴らはもう既に帰ったようだ。

 俺のクラスは三段階にカーストが別れている。

 クラスで中心の上位層、俺や井岡のような普通の中層、そしてクラスであまり発言などをしない下位層だ。

 意識しないだけで、どこの学校にも同じような区分けがあると思う。

 うちのクラスではいじめのような行為は無いが、どこかで上位層は俺達下の層のクラスメイトを見下している感じがする。


「その母ちゃんの作ったまりとっとつぉだっけ? あれが美味くてよぉ」


「あぁ、最近人気だよなぁ」


 くだらない話しをしながら井岡とラーメン屋を目指す。

 しかし、俺はそんないつもの日常に違和感を覚えた。

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