コンビニでバイトをしている俺だが必ず俺の元でショートケーキを買って行く美少女が居るのだが?(改訂版)

アキノリ@pokkey11.1

第1章 貴方に再会する時

恋の讃美歌

第1話 ショートケーキだけを何故か買っていく少女

コンビニバイトも楽じゃ無い。

どれだけ楽じゃ無いかと言えば.....こんな感じ。

例えば無邪気な女児のスカートが何時何処で床に付いてもスカートが汚れない様にするぐらいに綺麗にしなければいけない。

分かるだろうか。

これだけ大変なのである。


まあそれ以外にもレジ打ち、品出し、タバコの整理、記憶。

そんなのが求められる。

その為.....楽じゃ無いのだ。


俺.....羽鳥夕(はとりゆう)という少し痩せすぎな黒髪短髪の成績普通の.....そんな人間だが.....コンビニでバイトをしている。

これには病弱な妹の為や貧乏な為という点がある。


その為このバイトをやっている。

かなり.....バイト代も高いしな。

このコンビニは、だ。

思いながら俺は.....大欠伸をしながら。

高校3年生の1月の事.....コンビニバイトをしていた。


全ては夕日と母親の為に、だ。

妹の名前であるが.....彼女は今も家で待っている。

だから早く帰りたいのもある。

このバイトは18時まで。

俺はまだ高校生なのもあってあまり働けない点もある。


ああ。

そんな俺のアルバイト先だがこんな話がある。

聞いてほしい。


実は俺がアルバイトをするのは学校から帰って来ての16時辺りからなのだが。

アルバイトを始めた直後に直ぐに.....美少女が俺の元でショートケーキを.....毎日買っていく。

それ一個だけだけど、だ。

何故そうするのか分からんでもないが.....。


そんな事を俺の元で別の人がしていたが同じ事をする人が居るとは、と思う。

思いながら.....今日もまたその黒髪無口な感じの美少女を見送る。

それから.....ほうっと息を吐いた。

そして.....頬を叩いてまたやる気を出してから、いらっしゃいませー!、と声を張り上げる。


今日もその黒髪無口美少女の顔を見れた、と思いながら。



俺の家は貧乏に近いと思う。

コンビニで帰宅する時に買い物とか出来る奴らが羨ましくなるぐらいに、だ。

その為に.....まあ簡単に言っちまうとショートケーキでも羨ましい点はある。


でも何故ショートケーキだけを買っていくのか分からない。

何故その少女も俺の元で、なのか。

それも分からない。


おっちゃんとかそんな有名レジ打ちがいるのにも関わらず。

敢えてレジ打ちが遅い様な俺の方を選んで来るのだ。

俺は首を傾げながらも、まあ前もあったしな、と思いながらその対応をしていた。

今日は1月23日だったな。

そんな事を考えていると。


「あ」


と声がした。

俺は?を浮かべてその黒髪無口少女の顔を見る。

困惑しながら.....何かを探している。


マフラーを掛け直しながら、だ。

どうしたのだ?、と思っていると。

答えが直ぐに出た。


「.....財布忘れた.....」


そう言いながら黒髪無口美少女は背後を見る。

客が、早くしろよ、とか言い始めた。

その事で涙を浮かべる少女。


俺は溜息を吐いた。

それからビニール袋に入れた。

持っていけ、と告げる。


「え?でもお金.....」


「.....良いから。君は毎回この場所で買っていってくれているから。今日ぐらいは俺のバイト代で賄う。.....持っていってくれ」


「.....で、でも.....」


「良いから。客が困っているから。.....早く、な?」


それから不恰好なウインクしてからその少女にショートケーキを渡す。

するとショートケーキを持ったまま少女は赤面しながら、有難う、と小声でお礼を言って退散する。

俺はその事に笑みを浮かべながら次の客の相手をした。

それから.....レジに俺の財布からお金を抜いて入れる。



いや.....うん。

貧乏なのに何をやっているんだろうな。

ショートケーキ代だって馬鹿にならないのに。


思いつつでも良い事はした、と思いながら裏口から出ると。

何故かその少女が鞄を持って立っていた。

俺は愕然とする。

待っていたと言わんばかりの感じだ。


「.....ちょ。.....君.....まさか2時間近くもこんな寒い中、待っていたのか!?もう18時だぞ!」


「はい。.....お礼が言いたくて。.....それからお金。持って来ました」


「.....え!?.....いや。良いって言ったのに.....有難う.....」


「.....それで.....その。今日初めて話して馴れ馴れしいですが.....私、佐藤苺(さとういちご)って言います!.....その。貴方と話したくて!.....あ、アドレス交換してくれませんか!?」


へ?、と思いながら目が点になる。

そのままスマホをお辞儀と共に差し出してくる少女。

俺はその姿に目をパチクリしたが。


ま。まあ良いけど、と言った。

すると少女は弾ける様な笑顔を浮かべた。

本当ですか!?、と。


「.....うん。君なら信頼出来そうだしね」


「.....あ、有難う御座います!」


「.....じゃあ交換だ」


そしてアドレスを交換してから。

彼女はマフラー越しに、え。えへへ、と笑顔をまた浮かべる。

それからこんな小さな声がした気がした。

久しぶりだね。はーちゃん、と。

俺は?を浮かべて、何か言った?、と聞き返すが。


「何も無いですよ。.....寒いですね、と話したんです」


「.....そうだね。.....まあ確かに寒いね。.....だから早く帰りな。.....君はまだ18歳未満だろ?高校生は俺もそうだけど」


「.....あ。そうですね。.....はい。.....じゃ、じゃあまた明日!」


それから少女は嬉しそうに夜道を去って行った。

そして俺の古いスマホには.....アドレスが一件、刻まれる。

俺は溜息混じりに、不思議な少女だな、と呟きながら。

そのまま自転車を転がして帰り道を急いだ。

待っている人が居るしな、と。

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