CMにでてるやつ

お題：有名な子犬 制限時間：15分

CMにでてるやつ

「あの子犬、CMによく出てるね」

「正確にはあの犬種だけどね」

「そうだね。模様が違う。親戚かなにかかな？」

「どうだろう。僕たち人間であっても、親戚と言えるかもしれないし」

「ワンちゃんと私たちが親戚？」

「もともと生命は同じだったっていう話だね。そこから四足歩行、二足歩行と変わってった」

「じゃぁ、恐竜も親戚なの？」

「同じ血は流れてないけど、そうかもしれない」

「ふーん。ワンちゃんと親戚なら、触らせてくれるかな？」

「飼い主に許可が取れればいいと思うよ。さすがに知らない人のお家には勝手に入っちゃいけないよ」

「でも、親戚なんだよね？　なら、私たちとは知らない人ではないと思うの」

「明確にここまでが親戚というラインはないけれど、他人は他人でしかないよ」

「めんどくさいんだね」

「触りたいっていうなら、公園に行こうか？　あそこはよく散歩をしてる人がいるよ」

「このこじゃないよね？」

「そりゃあね。このこが散歩してたらそうだけど、してるのは違う犬だろうね」

「うーん。じゃぁいいかな。CMに出てるあのこが触りたいんだもの」

「それだったら、このこも違うよね？」

「でも、仲間でしょ？　同じ血がきっと流れてる。あっ、めんどくさいこだと思ったでしょ？」

「そう思わないわけはないと思うよ」

「だよね。ごめんね。せっかく外に出してもらってるのに」

「構わないよ。面倒をみる約束をしてたからね。病院にだって許可をだしてもらったのだから」

「許嫁はちゃんと奥さんの面倒を見るんだよ」

「わかってる。ただ僕といるのに他のこに目移りしちゃうのに嫉妬しちゃってね」

「かわいい」

「そうであればよかったんだけど、この顔つきはもうヤクザしかないよ」

「そんなことないよ。いい顔だよ。私にとっては王子様なの」

「そうならいいけどね」

「じゃぁ、いこっか。車椅子発進」

「そんなかっこいいものでもないけどね？　どうする、やっぱり公園いく？」

「デパート行きたい。買いたい下着があるの」

「……それは僕に着替えるのを手伝えって？」

「許嫁でしょ？」

「そうだけどさ……」

「私は構わないよ。何度見せても、大丈夫」

「……わかったよ。じゃぁ行こうか」