短編収集創作

藤倉(NORA介)

夜の導き

 月光に照らされ、一人の少女が道を歩いている。僕は、「どうしたの?」と少女に尋ねると、少女曰く、散歩の途中で飼い犬のマサとはぐれてしまったという。そこで僕も、少女の人探し…ではなく、犬探しに協力する事にした。


 正直、もう暗いからと思って、「明日探そうよ。」と言ったのだが聞いてはくれなかった。僕はスマートフォンの頼りない灯りで照らしながら、少女と共に山道を進んで行く。


 気付くと、かなり奥まで来ていたようで、その時に気付いたのだが、少女の名前を聞いていなかった。そう思って振り返って見ると、あの少女が倒れている、その傍らで犬が息絶えていた。


 その後、助かった少女の親が僕に礼を言いに来た。その時に知ったのだが、少女の名前は『昌』だった。

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