お風呂上がりのイチャイチャ
「ただいま」
「おかえりー」
綾香の声が返ってきた方にいくとちょうどパックをしている時だった。確か保湿だったかなんかの。昔親がしてて結構驚いたのを覚えている。
「あ、お風呂あいてるよ」
「ん」
「その袋なに?」
「帰りにコンビニのシュークリーム買ってきた」
「シュークリーム!」
「そそ、俺が風呂入ってる間にでも食べといてくれ」
「ありがとー!」
「その状態で抱きついてくるな!」
「あ、ごめんごめん」
そう言っている間もパックで顔が覆われているのだからちょっと怖い。俺は冷蔵庫にプリンをいれて逃げるように風呂場に駆け込んだ。
「生徒会長さんと?」
「そそ」
お風呂から上がった俺は文化祭での予定を少し話し合っていた。
「あ、弟くんのことか!」
「うん、帰りに話して気になったから」
「なるほど、多分予定組まなくても会えると思うし大丈夫だよ」
「そうなのか?」
「実行委員だからね、それに途中で1回会わなきゃいけなかったし」
「そっか、ならその時にちょっとだけ見させて貰うよ」
「はーい……大変なことになりそうだなぁ……」
「なんか言ったか?」
「ううん、なんにも」
小声でなにか言っていたが聞き取れず聞き返してしまった。まあ大した事じゃないだろうと判断して忘れることにする。
「冬夜くんの時の文化祭ってどんな感じだったの?」
「あー……」
綾香にそう聞かれて自分が生徒会長だった時の文化祭を思い出す。
「まぁよくある文化祭だったかな」
「そうなの?」
「特に変なことはしてないぞ」
「なんか話聞く限りあれを超えたことはないとか聞いたけど」
「まぁ盛り上がりはしたな」
「校長先生とか絶賛してたよ、受験数も増えたとか言ってたし」
「それ学校側の理由だよな」
「それぐらい盛り上がったのに何もしてないの?」
「ただ普通の文化祭って感じだったな、今みたいにミスコンとかないし」
「へぇー」
「外部で誰かを呼ぶなんてこともなかったし」
「ほんとになんで盛り上がったの」
「強いて理由をあげるなら生徒会かな」
「生徒会?」
「そう」
当時のメンバーはそれはもう才能の塊で俺が頼んだことをほぼ全て120%で返してくるようなやつらだった。メンバーは俺を含めて5人だったが俺以外の全員が1人1つ展示をするなどかなり馬鹿げたことをしていた記憶がある。
その時のことをいくらか端折ったりしながら綾香に話す。
「───ってことがあったんだよ」
「それはまぁ盛り上がるだろうね」
「単純にあいつらのスペックの高さに助けれられたな」
「それ全部サポートしてた冬夜くんもおかしいけどね」
「サポートだけなら少しだけ知識あれば出来るし」
「いや本人達に聞こ?絶対1番おかしいのは冬夜くんって断言してくれるから」
「なら余計に聞きたくないからな」
「けど以外と男女比は普通だったんだね」
「というと?」
「冬夜くんのことだから冬夜くん以外のメンバー全員女の子とかありそう」
「それは偏見がすごいな」
いくらなんでもそれはない。いや俺が副会長だった時はそれだったけど……それでも変なことはなかったと断言出来る。その時のメンバーは誰一人として彼氏とかいなかったからちょっと目が怖かったけど。
あの時の会長はいい人だったなあ……と思いを馳せる。
「むぅ、他の女の子のこと考えてる」
「そんなことないぞ」
ごまかすように綾香の頭を撫でる。むくれていたのがすぐにふにゃりと溶けて猫みたいになる。
「冬夜くん頭撫でたら誤魔化せると思ってない?」
「綾香はチョロいと思ってるよ」
「むー!」
ポカポカと俺の胸を叩いてくる。痛くはないがいたいたい、と嗜めるようにどうどうとする。
「今日はシュークリームがあったから許してあげる」
「シュークリームに感謝だな」
「冬夜くんも食べたかった?」
「綾香が満足してくれたらそれでいいよ」
「今度シュークリーム作ってみる?」
「それはいいな」
「冬夜くんとするお菓子作り楽しいから沢山したい」
気づけば綾香は俺の太ももの上に座っていて俺を背もたれにしてもたれかかってくる。重くはないが風呂上がりのボディミルクの匂いとか柔らかいとこが当たったりして心臓に悪い。
「冬夜くんって髪はロングとショート派どっちなの?」
「その人が好きな方でいいと思ってるよ。ロングだと手入れは大変だろうショートはショートで出来ること少ないと思うし。俺が強制するようなことはしたくないな」
「ふーん……でどっちが好きなの?」
「今の聞いた上で答えさせるの!?」
「だって私が知りたいのは冬夜くんの好みだもん」
「…………ロングが好きです」
「じゃあ今のままでいいね!」
「そうだね」
「今度好きな髪型探そうね」
「ポニテとかそういうの?」
「そうそう……冬夜くんはポニーテールが好きなのかな?」
「ロングポニテもショートも最高だと思う」
「突然張り切るね」
だって髪を結んでる仕草から素敵じゃん。髪ゴムを口に咥えてたりするのもすごくいい。あとうなじがいいね。何語ってんだ俺。
「じゃあ今度ポニテでデートとかする?」
「なるべく2人きりになれるとこなら」
「ふーん……独占したいんだ?」
綾香は俺の太ももの上で器用に回転して俺に向き直る。綾香の方が位置的には上なので髪で俺の顔にカーテンがかかる。
「……そりゃ好きな人はなるべく独占したい」
「もう!そんなこと言われたら我慢できなくなっちゃうよ?」
「なにが?」
「んー……こういうこと」
その言葉と同時に額にキスが降ってくる。ついで頬、耳と綾香の唇の感触が次々に訪れる。
「今日の私はちょっとだけ積極的だよ?」
「……みたいだな」
多分俺の顔は真っ赤になっていることだろう。きっとそれで綾香の欲望をさらに刺激している気もする。
「このままキスもしちゃう……?」
「それは……まだだめだ」
「だよね、だから……」
綾香は俺の鎖骨当たりに少し長めのキスをする。
「おい、それ痕つくだろ……」
「……ぷは、マーキングだよ。誰にも取られないようにって」
「そっか、なら俺も」
「きゃっ」
仕返しとばかりに俺も綾香の首元にキスをする。当然俺にされたように痕を残して離れる。
「もー……明日学校なんだよ?」
「俺だって仕事だよ」
「どうやって隠そうかな……」
「絆創膏でもしとけば?」
「それしたって言ってるようなものじゃん!」
綾香が本格的に悩んでるのを見て今度は肩にキスをする。
「ちょっと……私も負けないから」
そこからは変な意地の張り合いになってお互いの色んなところにキスをしまくった。
1時間もそんなことをすれば流石に冷静になって明日どうしようかとお互い寝る前にもんもんと悩むことになったのだった。
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