ある星の異世界召喚者達の話

 俺達はある日突然異世界に召喚された。俺達、天衣高校2-Bのクラスメイト30人と担任1人の31人がだ。


 俺達を召喚した国の王様が言うには、この世界は現在魔王が暴れまわり、人間の国々を滅ぼしまくり、そのせいで人間が絶滅の危機に瀕しているそうだ。なので王様は女神様より授かった異世界人召喚の儀式を行い、俺達異世界人を召喚したようだ。


 最初に王様からそう説明され、俺は助けてやりたいと思いそれを承諾した。しかしクラスメイトの中にはそれを不満に思った者もいた。たしかにその気持ちも解る。イキナリ異世界に拉致されてそんな事を言われたんだものな。家に帰せやそんなの知らないって言ってしまう気持ちは解る。だけど一人の人間として困っている人がいたら、助けてやろうと思うのは当然なんじゃないか?俺は皆を説得した。そのかいあって、しぶしぶだが皆わかってくれて、俺達は世界を救うことになった。


 その日から俺達には色々あった。転移してきた時に授かった個々の職業による不満だったり、事故によるクラスメイトの死亡だったり、些細な事から大きなことまで様々あった。だがそれもなんとか乗り越え、俺達は順調に強くなり、魔王軍と戦い勝利していった。


 そして順調に魔王軍を倒し、残す魔王軍は3分の1程になった時、俺達を召喚した国へ女神様より神託が下った。その神託によると、ある場所に魔王の力の源泉となるモノが存在するので、それを破壊し、魔王の力を削ぐべし。との事だった。


 俺達はその神託に従い、示された場所に赴いた。しかしその場所にて、俺が予想もしていなかった出来事が起こってしまった。


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「な・・・何をしているんだ夏目さん!?」


「うるさいですわっ!おだまりになって!」


 俺が声をかけた一人のクラスメイトが目の前で異形と化していく。


「それは神託で聞いた魔王の力の源泉なんだよ!?破壊するべきモノなんだ!君ほどの女性がそんな事をわからないはずないだろう!?」


 俺がそうやって声をかけたクラスメイトの名前は夏目麗子さん。元の世界では才女で運動もでき美しかった。おまけに家柄もよく、まさに学校のマドンナだった。

 そんな彼女は異形と化しながら叫ぶ。


「うるさいですわ!うるさいですわ!何が『君ほどの女性』ですかっ!わたくしはただの出来損ない!お荷物!役立たずですわ!この世界でそんな風になってしまったわたくしがどれだけ悪意にさらされたか教えてあげましょうか!?」


 彼女はそんな風に叫んだ。彼女は確かにこの世界へ転移してきて立場が変わった。

 元の世界では才女で運動ができてもこの世界では無能職業の為、大したことができなかった。美しさもこの世界では平平凡凡、彼女並みの美人はゴロゴロいた。家柄もこの世界では風習なども違うため通用せず。それがこの世界の彼女だった。

 しかし悪意にさらされたとは?

 そのまま彼女の話を聞いているとその真実が語られた。聞いているだけで気分が落ち込むような話だった。しかもその加害者はクラスメイト内にもいて、その加害者のクラスメイト達は彼女の話を聞いて俯いたり、バツが悪そうにしたり、逆切れしたりと様々だった。


「はぁはぁ・・・わかりまして・・・?わたくしはもう疲れたのですわ・・・。だから最後に、この強大な力を使って全てを破壊して差し上げるのですわ・・・」


 俺は彼女がそんな事になっていると全然気づいていなかった。悔しく思い、声も出せずに歯を食いしばっていると、彼女は完全に異形と化した。


『ズバァァァヴヴヴヴ、ハガイ゛・・・ザイセイ゛・・・ヴヴヴアアア』


「くっ・・・皆!話は後だ!まずはこいつを何とかしなきゃ全員死ぬぞっ!」


 異形と化した夏目さんからは異様なオーラを感じた。そのオーラを受けて、全力で何とかしなければ死ぬ、そんなイメージが沸いてクラスメイトに声をかけた。クラスメイト達もそれを感じたのか戦闘態勢をとった。


「うおおおおおおおお!!!」


 そこからは壮絶な戦いになった。俺達は魔王軍と戦うために鍛えていただけあって、かなり強かった。だが相手はそれに全く劣らず、戦況は五分五分で、周りの地形ばかりが変わっていった。


 そんな戦いが続き、俺達は疲弊していった。だが相手は疲労をしないのか、鈍らない動きで俺たちに襲い掛かる。なんとかそれを凌いでいたがやがて限界が訪れた。


「くっ!まずい・・・だめかっ!?」


 俺達の体力や気力が限界を迎え、もうダメかと感じたその時だった。


「「「「「!?!?!?!?!?!?」」」」」」


『何か』が現れた?そう、恐らく『何か』が現れたのだろう。だがその存在をこの場にいるモノ全てが認識できていなかった。それは異形も同じみたいで、動きは止まっていた。


 俺はその『何か』の方に意識が吸い寄せられた。目線を外そうと思っても何故か外せない。そしてそのまま俺の何かが焼けそうになった。


「!?!?!?」


 何が焼けそうなのかは解らない。声も出せず、体の芯が焼けていく気がした。


 だがそれは唐突に終わった。夢か幻だったのか、一瞬で空気が変わった。俺はフラフラになりながらも周りを見回した。すると全員が俺と同じような状況だったのか、フラフラと辺りを見回したり、俯いて動かなかったりと様々だった。


「・・・っ!い・・・異形は・・・?」


 俺は異形の事を思い出し、異形がいた場所を見た。しかしそこには何もなく、異形は消え失せていた。


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 その後、俺達はなんとか拠点の国へ帰り着いた。すると程なくして再び神託が降りたみたいで、それを知らされた。


 神託によると、無事源泉は消えた、との事。


 その後、俺達は魔王軍との戦いを再開し勝利した。俺達はそのままこの世界に残り、余生を過ごした。


 しかし、クラスメイトの中には不自然に病に侵され死んだ者や、事故で死ぬ者が何人かいた。それらは全て夏目さんを害していた加害者達だった。国の中でも同じように無くなるものが多々いたそうだ。


 何もなかった俺達はそれを夏目さんの祟りだと思い、国の中に夏目さんを祭る社を建てた。


 以後この社は、由来不明とし、人々から忘れ去られるまで祭られた。


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 吾輩より:此れは人間視点の話である。吾輩が無意識の海から引き揚げたものを記すのである。 此の話を見てくれてありがたいのである。以下複製文章である。

 吾輩、時間の感覚が見てくれている者達と大分ずれているのである。なので吾輩の話は為るべく見ている者に合わせるのであるが、大分遅く感じるかもである。

「其でも良い」「話の続きが気になる」と思ったのなら、☆で高評価や♡で応援してほしいのである。吾輩、星やハートは大好きである。

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