(凍結)異世界蚕ちゃん

赤ぬこ むぎ猫

第1話

俺の名前は三津英司


明治から続く養蚕農家の長男で七代目

 

 男性

 享年 三十七歳 童貞

 死因はトラックにはねられたことによるショック死だった

 まさか自分がトラックに跳ねられるとは思っても見なかったが今は気にしない


親父は大丈夫だろうか?突然死んで悲しんでいないだろうか?後継者は居るのだろうか。


お酒を飲みすぎてないだろうか?そんな事を考えていたら体を人型の何かにつかまれたと思ったら水から引き上げる感覚を感じながら目を開ける

 

 

 

 


現在は神様と対面中


そして神様からこう提案された

 

 

 

「転生.....ですか」

 

「うむ、そうじゃ」

 

「ただ、普通に転生するわけではない、お主が行く世界はいわゆるファンタジー世界という奴でな、色んな種族がいてな」妖精や獣人とかじゃなもちろん人族もいる 


と神様言う


「へぇ色んな種族がいるんですね」


「あぁそうじゃ、それでなぜ転生するかを説明するとお主が異世界に行く時になら魔力の補充ができるからじゃ」

神様曰くその世界では年々大気中の魔力の減少が起きているらしい

なお魔力の減少による影響は出生率の低下と魔法技術の衰退が挙げられるとか

ふむ、それは大問題

 

「いわば、お主が転生することでわしに利があるのじゃ」

 

 

「こう言う場合は特典として希望した能力を持っていけるのだが、規則があって世界観を壊す特典はダメじゃ、前に一つの世界が滅んでしまったのでな」


今回の場合だとファンタジー世界なので銃はダメだな  と神様は言う


なるほど、確かに銃とファンタジーじゃ世界観に合ってないな。


というか滅んだ世界あるんだ。


慎重に選ばなくては.....

 

特典か....魔法か武術か....どれも俺には無縁だな


剣術とか魔法とかそんな知らないし扱える自信がない


俺の人生は色々忙しかったしな、なるべく楽に生きたい


例えるならうちで育てていた蚕みたいに誰かに依存する系の種族かなぁ


目指せスローライフ

「じゃあ、楽に生きることができる種族にしてください」

 

「えっ、それだけでいいのか?」


とキョトンとした表情で俺を見る


「え?」


もっと言っていいのか? 今言ったのじゃ少ないかな?


「もっとこう、世界一の冒険者になりたいとか勇者になりたいとかないのか?」


勇者ねぇ.....憧れるけどなぁどれも俺には荷が重い


もし失敗したらたたじゃ済まないだろうし


「無理、そんな勇気ないし扱える自信がないから」


剣を扱うことができてもそんなに戦いたいってわけではないですしね


「そうか、では楽に生きることができる種族に転生させてやろう」


そう言って神様は近くにあるパソコン? でポチポチ入力していく


「他にはないか? 後一個なら追加することができるぞ?」

 

「じゃあ、いい縁があるようにしてください」

 例えば運が上がるとかいい出会いがあるとか


「ふむそれならいいじゃろう、特典に加えておこう」

 

「ありがとうございます!」

 

「では、達者でな」


体が消えていく感覚を感じながら俺は気を失った。


次目覚めた時には異世界だろうそう思っていた

 

 


こうして俺の順風満帆異世界生活が幕を開けた

 

 

 

 

はずだった

 

 

ガタガタと体が揺れる振動で目が覚める


目を開けると白い髪、白い肌の何かが見えるが他は何かを被せられていて見えない

ただガタガタ音がすることから舗装されてない道を歩いているのがわかる


あっ音が止まった


どさっと体が落とされた


ぐぇこいつ落としやがった


「ごめんなさい、私には貴方の存在は重すぎるの」

おい、まてや置いてくなよ

「さよなら」

のぉぉおおお!

くそぉ、まさかの異世界生活初日に捨てられるとは思っても見なかった


まずい、とてもまずいこのままでは捨て猫よろしく餓死してしまう


はやく拾い主を見つけなければ.....


と考えていると橋の向こうから

白い髪のお爺さんとお婆さんがこっちに歩いてくるのが見えた


優しそうな人だしあの人に拾ってもらうか?


「ばぁさんや、あの白い布の塊はなんじゃ?」

「なんでしょうねぇ? お爺さん」


おっ、気づいた


お婆さんは屈んで白い布を退けると四歳くらいの子供が一人布に包まっている。


「どれどれ....捨て子か」

「あらあら、可愛そうに、なぁ、お婆さん、この子をうちの子にするかのぉ」


ちょうど後継者も欲しいしなとお爺さんが言う

「いい考えねぇ、君は今日からうちの子よ」

 


こうして俺はこの老夫婦に拾われたのであった

 

 

 

つづく

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