恋愛小説のような恋がした……とは一言も言っていないのにっ!あ、それ元ネタは小説じゃないけど?

403μぐらむ

第1話

よろしくおねがいします。

一話2千文字前後となっております。

********



 高校生になって二回目のゴールデンウィークが終わった。んで、今日が休み明け初っ端の授業なんだけどほん~とだるい。いきなり六時限目まできっちり授業とかおかしくない?


 今回のゴールデンウィークは本当にゴールデンな感じで五月一日から昨日の五日まで連続した五日間の連休だったので部活動もやっていない俺にとって今朝は久しぶりの登校なわけで、勉強をする気もあまつさえ通学するのさえも漲るものがなにもなかったので余計に辛かっただけなんだけどな。


 とはいえ普段は漲っているかと問われれば、即、否と答えるけどね。要するに一般的な学生共と一緒ということ。


「おはよ、真司。なにをぼーっとしているんだ? もしかしてGW中になんかいいことあったか? 未登頂の山を制覇したとか?」


 そんな風に俺、施ヶ内真司せがうちしんじに声をかけてきたのは、何故か俺ととても気が合い、たった一月で親友と呼べるまで仲良くなったクラスメートのイケメンバスケ部員三ヶ峯陽平さがみねようへいだった。


 ふたりとも珍しい名字だし、真ん中に『ヶ』入っているし――とかはあんまり考えなかったけど、単純に五十音順の出席番号で前後に並んだのが友だちになる切っ掛け。よくあるパターンだよね。いいじゃん、友だちになる切っ掛けなんてなんでもさ。


「どうしてぼ―っとしてるといいことがあったことになるんだよ? それに登山が趣味って言ってもそんな険しそうな山には俺は登んないよ。そういや二日の夜にガチャでSSR級キャラを引いたっけな? これこそ奇跡っていってもいいんじゃね?」


「真司のやってんの過疎ってるゲームみたいだからな。さよならセールじゃねぇの?」


 本当にありそうだからやめてくんない? マジでさ……。


「うっせーな。陽平こそどうなんだよ?」

「ん? それ聞く? 聞いちゃうの? 知らないよ。どうなっても」


 モテモテのイケメン君の休日の過ごし方とは? コレ如何に。


「いいから早く言え。聞きたくもないのに聞いてやるんだからありがたく思えよ?」

「ふっ、朝から晩まで――部活で終わったさ。遊ぶ暇なんて一つも無かったわ……」


 ああ、六月の上旬頃に大会があるって言っていたっけ。なんともご愁傷様……。


「ま、それもまた青春だねぇ~」

「マトモな恋愛とかにも期待したいところだけど、マトモってのがなぁ……俺的にけっこうネックなんだよな」


 陽平はそのルックスからかなりモテるんだけど、本人的には部活のバスケに重きを置きたいらしいんだよな。以前初めてできた彼女ってのが束縛系だったらしくそれを容認できないタイプで陽平は軽くトラウマになっているぽい。


 そんなこんなくだらない話を陽平としているうちに朝のHRの時間になったようで担任が教室に入ってきて、席につけと声をかける。


「んじゃ、またな」

「おう」

 陽平も自分の席に戻っていった。


 ちなみに俺の席は窓際から二列めの一番うしろ。陽平は廊下側の端の列の中程。それなりに席が遠かったりする。


「おはよ。施ヶ内くん」

「おう、おはよ。紫崎さん」


 一言だけ挨拶を交わし、彼女は窓際の一番うしろの席に座った。それ以上は会話をしない。


 口では。


 ピコン♪


 メッセージの着信を知らせる音がした。おっと、マナーモードにするの忘れいてた!

 メッセージの相手はお隣席に座る紫崎美穂しざきみほであることは間違いないだろう。


『おっはー! 三ヶ峯くんとなんの話ししてたの? GWどこに行ったとか、聞こえたけど?』

『そうだな。陽平はずっと部活だったみたいだぞ』


『三ヶ峯くんのことはどうでもいいよ。で、言ったの?』

『どうでもいいって酷いな。で、言ったってなにを?』


『わかっているくせに』

『わかんないな』


 ほんとにわかんない。


『しらを切るのね。じゃあ、言ってあげるよ! わたしとデートに行ったこと!』


 ガタン! バタン!


 びっくりして思わず立ち上がってしまい椅子をたおしてしまった。


「あ、すみません。なんでもないです」


「静かに座っていろよな。あと、スマホは電源落としてしまっておけ。没収するぞ⁉」


 担任にスマホを弄っていたこともバレてスゴスゴと電源を落とし、かばんにスマホを片付ける。


 ちらりと美穂を見ると肩を震わせて笑いを堪えてやがる。

 俺は『あとでおぼえておけよ!』とクチパクで伝えておくが、当の美穂は更に笑いがこみ上げてきたようで目の端に涙の雫が光っていた。


 紫崎美穂。

 学年で五指に入る可愛い子として有名らしい。美穂以外の美少女四人についてはバスケ部女子の岬さんぐらいしか俺は知らない。それだって名前だけだし、そもそも聞いたのは陽平からで、その評価は『岬さんバスケ上手いんだよ!』ってのがメインで可愛い云々は俺がどんな人か聞いたら、『う~ん』と唸った上でやっと陽平の口から出てきたものだった。


 まあ、そういうのは俺的にはどうでもいいんで気にならないからそれ以上は聞かなかっただけだしな。だから美穂が有名かどうかも俺は知らないんだ。

 どんなに可愛い子だろうと俺がその子達と付き合えるわけではないからな。


 

 好きだとも思わないし、たった一人を除いては……。




 ただ、臆病ものの俺のままじゃ、絶対に無理だろうな。



 

********

初日は三話連続で投稿し、以後一話ずつなるべく毎日投稿します。

十万文字までは書かれていますが、未編集ゆえ、たまに時間が空くかもしれませんがご容赦を。


お溢れでも構いませんので⭐をいただけましたら幸いでございます!

ぜひとも感想と💖をよろしくおねがいします😻

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