第338話 不動産屋へGO
隣の家の前に刺さってる看板に不動産屋の住所が書いてあったので、旅のメンバー全員で不動産屋へと向かった。
剣と魔法の世界だし、思いっきり貴族制社会なんだけど、なぜかこの街ってあまり貴族が出しゃばらず、平民に様々な仕事を任せているのです。
魔物のスタンピードで失態を見せてしまったオルガレイダス伯爵だけど、武力がイマイチなだけで、内政に優れた頭の良い人物なのかもしれないね~。
どうして資本主義の形態になったのは知らないけど、そのおかげでシェミールやパンダ工房が派手に動くことが出来て、街が急速に発展しているのだから、この緩さは他の貴族も見習った方がいいかもしれません。
「ここだ。まだあの土地が売れてないことを祈る!」
「西区だから大丈夫じゃない?中央区なら一瞬で売れちゃうかもしれないけど」
「土地なんて、そう簡単に売れるようなもんじゃないと思うけどな~」
全員のトナカイを消した。レオナねえを先頭に不動産屋に突入する。
ガチャッ
「いらっしゃいませ!」
受け付けは女性ではなく、メガネをかけた頭の良さそうな男性だった。
「昨日売地の看板を見つけたんだ。その土地を買おうと思って、看板に書いてある住所まで来てみたんだが」
「はい!どこの土地でしょうか?売地に赤丸をしてありますので、この地図で指し示して頂ければ」
「えーと・・・」
「ココじゃない?」
「見つけるのはやっ!」
「そこですね?調べますので、少々お待ち下さい」
「あいよ!」
地図を見てもボクにはさっぱりわからなかったので、レオナねえ達に全部任せることにした。
タマねえもわからないみたいだし、プリンお姉ちゃんもこの街では新参者なので、ボク達はいきなり戦力外です。
しょうがないのでカウンターから離れて、マグロのおっちゃんとメルお姉ちゃんに、パンダ工房の話をし始めた。
「なるほどな・・・。装備品ではなく、主に日用雑貨を作る鍛冶屋だったおかげで、すんなり馬車屋へと転身できたのか」
「グリフォンの鞍も、パンダ工房で作ってもらったんだよ!」
「私達にとっては『空を飛ぶ』というのが問題でしたので、鞍のことなんか何も考えずに乗りましたけど、前例の無いモノを作ったのですから凄いと思います!」
「飛ぶ動作の邪魔をしないようにするだけでも難しそうだな」
「ずっと裸グリフォンに乗ってたから、鞍を始めて使った時は感動した!」
「今はジャーキーも作っていますし、もう何屋さんなのかわかりませんね~」
「細かいことはどーでもいいのです!」
そんな会話をしていると、カウンターの方から歓声が上がった。
「よっしゃーーーーー!土地ゲットだぜーーーーーーーーーー!」
「でも土地代だけで結構お金を使っちゃうのが痛いかも」
「あそこの敷地って民家二つ分もあったんだね~」
民家二つ分!?広いとは思ってたけど、もしかして200坪とかあったの!?
ああ、中央区は知らないけど、西区の民家って庭のある緑豊かなスタイルなので、我が家なんかも100坪くらい土地があるんですよ。
都会ならもっとギューギュー詰めなんだろうけど、土地が広いってのは田舎の醍醐味ですよね~。田舎というか未開の地を切り開く開拓民なんだけどさ。
そんな場所にある街だから、魔物のスタンピードが発生したりするわけです。
強い冒険者が集まっているのも、未開の地に攻め込んで、初見の魔物を倒し、安全を確保するといった目的があります。もちろん危険ですが稼げますしね。
「クーヤ金だ!ペカチョウを呼び出してくれ!」
レオナねえからお呼びが掛かったので、近くまで行ってペカチョウを召喚した。
「いくら?」
「2000万だ」
ペカチョウ預金から引き出した2000万ピリンを、レオナねえがカウンターの上に積み上げた。
インテリメガネが目を大きくして、積み上がった大金を見ている。
「まさかキャッシュで一括払いだとは思いませんでした!」
「セルパト連邦・リナルナの銀行で一気に両替した金だから、全てピン札だぜ!」
「なんと、セルパト連邦で稼いだのですか!凄いですね~」
インテリメガネがお金をチェックし、謎の機械に入れたりしている。
この世界にはそういう便利な機械があるので、偽札がまったく効かないのです。
えーと?200坪の土地が2000万ってことは・・・、1坪10万か。
いや、200坪ってボクが勝手に思ってるだけなんだけどさ。
日本の土地なら安い方だけど、ここが田舎の開拓地って考えると、ちょっとお高めな気もしますね。
しかもシェミールやパンダ工房のおかげで街がメチャクチャ発展してきたので、あと数年もしたら土地の値段が跳ね上がるかもしれない。
ここからさらに悪そうなお兄さんが、ハンバーガーやメメトンカツサンドの販売を始めたら、食べ物が美味しい華やかな街として人気が出るに決まってるから、オルガライドの街の未来は超明るいですよ!
レオナねえは14代将軍なので、代表として紙にサインしまくったり謎の機械に手を置いたりと、土地の権利書の作成に大忙しだ。
でも土地の購入は『大奥を造る』という自分の野望を成就するためですので、文句一つ言わず頑張ってますね。
結構時間が掛かってるからアイリスお姉ちゃんと話をしてたんだけど、この辺一帯は伯爵様の領地なので、土地を安く買うってのは不可能らしい。
不動産屋にしても、貴族様の土地の管理をしているだけなので、土地をどれだけ売ろうが自身の儲けにはならないそうだ。
それでも給料のいい仕事なので、普通に憧れの職種ではあるみたい。
結局、購入手続きに30分以上掛ったけど、ようやくボク達はお隣さんの土地を手に入れることが出来ました!
「よっしゃーーーーー!隣の土地ゲットだぜーーーーーーーーーー!!」
ワー パチパチパチパチパチパチパチパチ!
「あとは、どんな家を建てるかだね!」
「もう急ぐ必要は無いから、帰ってからゆっくり考えよう!」
「すごく楽しみ!」
「私もワクワクしてきました!」
「あの家って、もう壊しちゃっていいの?」
「近々解体業者が来て、ぶっ壊す予定だったらしい」
「なんだ、こっちで壊す必要無かったのか~」
「それなら家が解体されるまで、ゆっくり考えて良さそうですね」
「だな!」
土地の購入も終わったので、マグロのおっちゃんが口を開いた。
「じゃあそろそろ、馬車屋に連れて行ってもらっていいか?」
「こっちの用事は済んだから大丈夫だ。よし、次はパンダ工房に行くぞ!」
「「オーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」」
というわけで、無事土地を購入することができました!
そして次はパンダ工房に向かうわけだけど、王家の馬車の注文が入ったら、ライガーさんとベイダーさんメチャメチャ驚くだろな~。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます