第333話 【Mission】ギルマスを喜ばせろ!

 ボクの読みも大したもんで、予想通りの6時間ほどで、リナルナの首都・ルナレギンの近くにあるパルラ山に到着することができた。


 そこからグリフォン→トナカイと乗り継いでルナレギンの街まで行き、真っ直ぐ銀行に入って、ラドン紙幣をピリン紙幣に両替した。


 ボク達の9000万ラドンだけじゃなく、マグロのおっちゃんが王妃様から預かった5000万ラドンも両替したので、あまりの金額の大きさに銀行のお偉いさんまで出て来てちょっと大変だったけどね。


 ちなみに王妃様は最初1億ラドン持たせようとしてたんだけど、そんなに使わないし重くて大変なだけだからと、5000万ラドンまで減らしてもらったのだ。


 ハムちゃんを貸せばいいのにって?


 マグロのおっちゃんもメルお姉ちゃんも仲良しポイントが全然足りてないから、そう気軽に貸し出すわけにはいきません!


 それに、他国に召喚獣を貸し出すのもどうかと思うんだよね~。


 軍事利用されるとかそういうことじゃなく、召喚獣達は召喚士の居場所がわかるわけだから、ボクから離れすぎると悲しむと思うのです。


 なのでもし召喚獣を貸し出すとしても、マグロのおっちゃん達が帰る時に馬車の護衛につけて、ハイドリムドに到着したら消すって感じになると思う。


 豪華絢爛な馬車になるだろうから、マグロのおっちゃん達も結構危ないのだ。せっかく売った馬車が盗賊に襲われて奪われましたじゃ王妃様にも申し訳ないし。



 とにかくそういうわけで、両替が完了したボク達一行はパルラ山に戻り、再びドラちゃんに乗ってイルプシアの街へと向かった。






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 ガチャッ!



 ドアが開くとつい確認してしまう習性で、冒険者達がボク達の方に視線を向ける。



「「ぶッ!!」」



 先頭を歩くのは鼻メガネを着けた黄色いハゲ。

 その後ろに馬少女と虎マスクが並ぶ最強の陣形だ。


 残りのお姉ちゃん達を引き連れ、カウンターの方へと歩いて行く。



「おい、あのハゲってクーヤちゃんだろ!」

「変な馬と謎のマスクが一緒に歩いているぞ!」

「意味が分からん!あいつら一体何がしたいんだ?」


 チッ、少し有名になりすぎたか・・・。


「ギルマスを呼んでくれ」

「え、えーと、変なマスクを着けていますけど、前にローグザライアを持ち込んだ、クーヤちゃんのお連れの方ですよね?」

「いかにも!」

「どちらにしても私では手に負えそうにありませんので、急いでギルドマスターを呼んで来ます!」



 タタタタタタタタッ


 虎マスクのプレッシャーに耐えきれず、受付のお姉さんが奥へ走って行った。

 そして3分もしないうちにギルマスを連れて戻って来た。



「おいおい、何だお前ら変なマスクなんかしやがって!」

「お久しぶりなのです!」

「なぜかハゲてるが、その声はクーヤだよな?」

「声だけでわかるとは、流石はギルマス」

「そういう馬頭は中身が誰だかサッパリ分からんが、あの時冒険者登録した誰かなんだろうな!んで俺を呼んだ理由は?」

「実はボク達ハイドリムドまで遊びに行ってまして、ギルマスにお土産を買って来たのです!」

「おお、ハイドリムドまで行って来たのか!ちょっと厄介な連中がいたりするが、なかなか良い国だっただろ?」

「いきなりその厄介な連中に絡まれて戦闘ばっかしてたぞ!」

「でもジグスレイドは完全に滅ぼしたので、もう安心なのですよ~」


 それを聞いたギルマスが眉間に皺を寄せた。


「・・・いやちょっと待て。ジグスレイドってのは、所属している構成員が全部で2000だかいる、近隣国でも最大級の組織のハズだぞ?」

「2000どころか3000人ほどいましたね。でもレパーナの街のアジトだけじゃなく、首都にあった五つのアジトまで全部潰したから、ハイドリムドはもう誰もが安心して遊びに行ける良い国に生まれ変わりました!」



 ざわっ


 これには後ろで話を聞いていた冒険者達も、一斉にざわめきだした。



「普通なら嘘くせえと呟く場面だが、お前らからの報告だと話は変わる。すげえ本当くせえな・・・」

「そういうわけで、平和になったリムディアースでお土産を買って来たのです!ココで渡すのもアレなんで、どこか部屋に案内してください!」

「ハイドリムドのお土産といったらアレしかないよな!?それならマリンも一緒に来るといい」

「私もいいのですか!?そんなの絶対行きます!」



 受付のお姉さんは『マリン』って名前だったのか。

 二人に連れられて、職員の休憩所っぽい部屋に移動した。



「ここなら問題無いだろ?」

「十分な広さなのです!」



 イルプシア冒険者ギルド専用の、お土産ハムちゃんを召喚した。



「じゃあ部屋の空いてる場所に、持ってるお土産を出していってください!」


『チュウ!』



 ハムちゃんが、グルメツアーで審査に通った厳選スイーツをどんどん並べていく。

 スイーツは一つ一つが紙に包まれているので、床に直置きじゃないですよ。



「おおおおおーーーーーーーーーー!」

「わああああああああ~~~~~~~~~~!」

「しかし、どうしてそんな奥の方に並べるんだ?」

「はて?」


 ハムちゃんが部屋の真ん中まで来たけど、お土産はまだ止まらない。


「いや、ちょっと待て・・・」

「これ全部スイーツですか!?凄すぎません!?」


 そして50個のスイーツを並べ終わったところで、ようやく放出が終わった。

 最後にギルマスとマリンお姉ちゃんに、ケーキの箱を一つずつ手渡す。


「お土産を買って来てくれたのは素直に嬉しいが、いくら何でも多過ぎだろ!」

「わああああああああああ~~~~~~~~!この箱の中身はケーキですよ!!」


 安心してください!これでも手加減してます。

 そんなに広くない部屋だったので、スイーツで埋まった感が出てますけどね~。


「まずはギルマス一人で限界まで食べて、余ったらギルド職員にでもご馳走してあげてください」

「いや、甘いお菓子ばっかそんなに食えねえよ!!精々2~3個で限界だ」

「私が全力でお手伝いしますから大丈夫です!」

「わははははははは!こっちはギルマスに渡した時点で任務完了だ!あとはそっちで好きなように振舞ってくれ」

「お土産の量が予想より遥かに多くて面食らったが、ありがとな!」

「じゃあボク達はそろそろミミリア王国に帰るのです」

「旅の無事を祈ってます。さてと、どれから食べようかな~!」



 とまあ、スイーツに夢中になっているマリンお姉ちゃんは見送りしてくれませんでしたが、外まで見送ってくれたギルマスに別れを告げ、ボク達はイルプシアの街を出て山の方へと向かった。


 もう少ししたらハイドリムドで起きたクーデターの噂が流れて来ると思うので、そこでまたビックリするかもですね~!


 ちなみに、帰り際に馬少女が頭のパトランプをキュピンと鳴らしたら、冒険者達がビクッとしてました。




 ◇




 キリ番の333話は、またイルプシアの冒険者ギルドでの話でした!


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 いつも本当に感謝しております!これからも応援宜しくお願いします。

 

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