第330話 スイーツ地獄の準備が整いました
美味しいスイーツを見つけては50人前を注文し、次の露店へ。
この地獄のスイーツ大会を吐く寸前まで繰り返し、ボク達はとうとう1000人前のスイーツを注文するという偉業を達成しました!
もう最後の方になると、他の店から噂を聞いていたのか、露店のお姉さんが『スイーツ審査員キターーーーー!』って喜ぶ流れになっていました。
初めて聞いた時は『なんじゃそりゃ!』ってなったんだけど、どうやらスイーツ審査に合格したら50人前の注文が入るって噂が露天商で流れているみたいだった。
審査員は6人だけど、1人でも美味いと言えば50人前チャンス到来なので、難易度はそんなに高くないんだけど、露天商の気合と緊張感が半端なかったです!
もちろんデカい注文が入った露店は大喜びし、惜しくも審査に受からなかったスイーツ職人は本気で悔しがっていたので、意外とこのイベントが切っ掛けで露店全体のパワーアップに繋がるかもしれませんね!
「これで全部だよな?」
「ちゃんとメモってあったから、商品を受け取り忘れてる露店はもう無いよ」
「やっと終わったんだね!!」
「良かったです・・・ゴフッ」
辛い物やしょっぱい物を好むプリンお姉ちゃんには生き地獄だったようで、ボクとタマねえに両側から支えられて何とか立っているって状態だ。
「プリンお姉ちゃんが瀕死なので、そろそろ城に帰ろっか~」
「もうタマも無理。ベッドで横になりたい」
「アタシも限界だ。しかし横になるにしても胃の中のスイーツを消化してからの方がいいから、少し街の中を歩き回ろう」
「だね~」
レオナねえの言うことにも一理あるので、ブラブラと首都の街並みを見て歩く。
ただやっぱり魔物が走り回ったせいで、街は少し閑散としていた。
「あ、ケーキ屋さんだ!」
とててててててて
「オイ嘘だろ!?クーヤの奴、スイーツ店に突撃して行ったぞ!!」
「あの子絶対狂ってるよ!」
「まさか、まだ甘い物に満足していなかったなんて!」
「うぷっ!」
「さすクー。簡単に限界を超えていった」
ショーウィンドウの中には、色とりどりの美味しそうなショートケーキがいっぱい入っているんだけど、そもそも街が閑散としているのでお客さんが全然いなかった。
「お姉さん、ケーキください!」
「あら可愛いお客さんね!どれが欲しいのかな~?」
「全部ください!」
「はい?」
「この中にあるケーキ全部です!」
現ナマ扇子を取り出し、優雅に顔を扇ぐ。
「お札で顔を扇いでる!お金持ちのお客さんだったーーーーー!!」
「お土産に買って帰るのですよ。なので箱の中身は全部違う種類のヤツにして、開けたら笑顔になる箱をいっぱい作ってください!」
「なるほど!そういうことならお姉さんに任せて!」
それはともかく、ウチのお姉ちゃんズの方は甘い匂いを嗅ぐことすら嫌みたいで、誰一人店内に入って来なかった。
化け物でも見るような目つきで外からボクを見てますけど、やっぱりお姉ちゃん達は全然甘いですね。スイーツ1000個くらいで足りるわけないじゃないですか!
限界を超えて渡さないと、お土産伝説は作れないのです!
ちょっと出費は大きいですけどね。でも今回は金持ちなので楽勝なのだ。
一気に全部売れるという想定外な事件が発生したので、ケーキ屋のお姉さんが瀕死になっていましたが、途中で店の奥から助っ人が登場したので何とか息を吹き返し、結局1時間くらいかかったけど、ようやく箱詰め作業が完了した。
ケーキ代の支払いが終わって、ハムちゃんを召喚して箱を全部持たせたら、お姉さんとそのお母さんらしき人がすごく驚いていました!収納ができる召喚獣だって説明したら、さらに驚いてましたけどね~。
ケーキ屋さんから外に出ると、お姉ちゃん達が楽しそうに談笑していた。
「ただいまー」
「クーヤちゃんおかえり!」
「まさかあの店のケーキを全て買い占めて来るとはな・・・」
「美味しそうなのがいっぱいあったよ!」
「普段ならそう思えるんだろうけど、今は正常な判断ができないよ!」
「ふ~、少し楽になりました。そろそろ帰りましょう!」
1時間休んだので、プリンお姉ちゃんも復活したみたいだ。
「まだなのです」
「はい!?」
「次のケーキ屋さんを探しますよ!」
「お前、マジか・・・」
「さすがクーヤ!普通の人にできない事を平然とやってのける。そこにシビれる!あこがれる!」
「ぷッ!それあの漫画のセリフじゃないですか!久しぶりに聞いたな~」
たしか前に聞いたのって、メルドアとレグルスが闘った時だったかな?
何の話をしていてそのセリフが出てきたかまでは覚えてないけど。
「孤児院の子供達やパンダ工房のマッチョ達を満足させるのは当然として、悪そうなお兄さんとこの組織の悪そうな人達もスイーツ漬けにしなきゃ!」
「アハハハハハハハハハ!それはすごく面白いかも!」
「黒眼鏡連中が必死にスイーツを食ってる姿を想像すると笑えるな!」
「それならガイアさんを呼び出して手渡すんじゃなくてさ、どうせなら組織のお屋敷まで届けに行こうよ!」
「そんなの面白いに決まっています!こうなったらもう行くしかありませんね~」
「お土産を貰ってキレる姿は必見」
そういえば悪そうなお兄さんの組織のアジトって、一度も呼ばれたことがないから、まだ行ったことないんだよね~。
いい機会だし、そろそろ突撃するしかないでしょう!
「箱詰め作業に結構時間が掛かるので急ぐのです!あと2軒攻めるからね~」
「あと2軒かよ!」
「首都からスイーツが消え去るのって、地味にすごい事件だよね!」
「スイーツ界の伝説に残るかも!?」
こうしてボク達は、さらにケーキ屋さん2軒分のケーキを買い漁り、それぞれの実家と知り合い全員をスイーツ地獄に叩き落とす準備が完了しました。
もうすぐ美味しいスイーツが食べられるから、みんな待っててね~!
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