第315話 首都に向かってレッツゴー

 メルお姉ちゃんが屋敷の中に入って行っちゃったので、マグロのおっちゃんと一緒にお姉ちゃん達がいる方へ移動した。


 ・・・って、なんか揉めてない??



「あ、クーヤちゃんだ」

「なんか言い争ってなかった?」

「全部クーヤちゃんのせいだよ!」


 なにィ!

 ボク何かしたっけ??


「新選組で決まりかけていたのに、最後に余計なこと言うもんだから、『エロ幕府がいい!』ってレオナが駄々を捏ねだしたのよ!」


 ズコッ!


 そういえばメルお姉ちゃんのとこに行く前に、『新選組』と『エロ幕府』で悩んでるって言って、大奥のことも少し説明したんだった。


「新選組が悪いとは言っていないぞ!でも『大奥』は絶対必要だろ!」

「ほら!この人14代将軍という権力を使って好き勝手しようとしてるんだよ!」

「権力を持たせるとダメな人物みたいですね」

「どうでもいいけど、そろそろ第三陣のステーキが焼けるよ?」


「「ハッ!?」」



 言い争ってた風だけどステーキを食べたら落ち着いたようで、結局多数決により新選組で行くことが決定した。


 レオナねえもしぶしぶ納得しましたが、『帰ったら大奥を作る!』と新たなる野望に燃えていました。どこに城を建てるつもりなのかは知らんけど。



「やっぱり、首都に集まっているジグスレイドを潰すってのは本気なのか?」

「明日か明後日には潰すよ?」

「いやいやいやいや!馬車で向かうにしても3日ほど掛かる距離だぞ」


 馬車で3日か~。それだとグリフォンでも丸一日かかっちゃうね。

 ちなみに、話をしている相手はマグロのおっちゃんです。


「じゃあ明後日かな?」

「3日掛かると言ってるのに明後日潰すと言うからには、1日で首都まで行ける手段があるのか?」

「うん」

「間に合うな・・・」



 それを聞いたマグロのおっちゃんが、顎に手を当てて考えている。



「俺もクーヤ達に同行していいか?移動速度に優れた召喚獣に乗って行くのだと思うが、1体、いや、ファリーの分と2体借りたい」

「メルって呼ばないと怒られるよ?」

「なぬっ!?ま、まあそれはともかく、5日後にジグスレイドが首都を焼き払うと言っていただろう?ということは、レヴリオス公爵軍もそれに合わせて行動を開始する筈なんだ。俺の報告が早ければ万全な体制で迎え討つことが出来る!」



 なるほど・・・。


 ボク達がジグスレイドを潰したとしても、それを知らない弟公爵が攻め込んで来る可能性があるわけか。すでに首都近辺にまで軍を進めているだろうし。


 っていうか、すでにこっちは謀反の証拠を握ってるんだから、この機会に弟公爵をぶっ潰すべきじゃない?


 あ、マグロのおっちゃんはそのつもりなのかもしれないね。

 問題は王家がどう判断するかだけど。



「だったらさ、ついでにあの悪党2人も連れてく?首都にあるアジトの場所とか色々知ってるんじゃない?」

「可能なら頼みたい!アイツらの情報はかなり貴重だからな」

「じゃあ決まりだね!明日の朝出発するつもりだから、黄色い建物の隣にある評判の宿屋まで迎えに来てください!」

「黄色い建物・・・ああ、あの宿屋か!この国の行く末を左右する重要な待ち合わせだから、絶対に俺を置いて先に出発しないでくれよ?」

「もしマグロのおっちゃんが宿屋に来なかったら、ココが最終待ち合わせ場所ね。もし誰もいなかったら出発するから」

「わかった。それでいこう!」



 拉致被害者達はマグロのおっちゃんの方で保護してくれることになったので、無事に家族の元へ帰してあげられるということで一安心です。


 というわけで、屋敷のゴタゴタはマグロのおっちゃんに丸投げし、ボク達は宿屋で一泊することとなった。部屋をとっておいて大正解でした!






 ************************************************************






 この宿屋にも大浴場があったんだけど、マダムによるトラウマのせいで足が震えてきたので、部屋の小さなお風呂にタマねえと2人で入りました。


 タマねえにはみんなと一緒に大浴場に行くよう言ったんだけど、ボクが誘拐されたせいか片時も離れようとしなくて、寝るのも同じ布団という過保護っぷりでした。


 ミミリア王国に帰れば元に戻ると思うけど、ハイドリムドにいる間はずっとこんな感じかもしれませんな・・・。


 そうそう、女将さんに聞いてようやく判明したんだけど、この街は『レパーナ』という名前だそうです。


 前もそうだったけど、なぜか宿屋で街の名前が判明することが多いなあ。



「あっ!あの可愛らしい姿はクーヤちゃんですね!」

「お、いたいた!この宿屋で正解だったか!」


「マグロのおっちゃんだ!」


 とててててててて


「えーと、この2人を入れて全部で4人だよね?」

「うむ。こっちは4人だ」


 悪党2人がボクの姿を見てビクッとしたが、手錠のような物が嵌められているのがわかった。逃げられたら困るし当然か。



「んじゃとりあえず街を出るぞ~」


「「オーーーーーーーーーーーーーーー!!」」



 首都は西にあるということで、西門から外に出た。

 そして門兵の姿が見えなくなる位置まで歩いて行く。



「そろそろいいか」

召喚獣サモンビーストといっても傍から見ると魔物だからな。門兵に騒がれないように離れたのは正解だ」

「どんな乗り物なのかワクワクしますね!」

「えーと・・・、10体呼び出せばいいんだよね?」

「10体であってる」

「んじゃ、グリフォン召喚!」



 シュシュシュシュシュシュシュシュシュシュッ



 原っぱがグリフォンまみれになった。



「「な、なんだってーーーーーーーーーーーーーーー!?」」



 まさかの飛行タイプの乗り物の出現に、新入り4人が驚愕した。



「ちょっと待て!この魔物って確か・・・」

「ラムシュクルームじゃないですか!!」

「マジか・・・」

「嘘だろ!?」



 お姉ちゃん達がグリフォン1体1体に鞍を装着していく。


 今回の旅で10体捕まえる予定だったから、その分の鞍も作ってあったのだ。

 なので、4人くらい増えてもまったく問題ありません!



「ハ、ハハハハ。なるほど、空を飛ぶから1日で首都まで行けるわけか・・・」

「私達も飛ぶんですよね?ワクワクを通り越して足が震えてきました」

「なあ、俺達どうなるんだ?」

「知らん」



 新入りは自動操縦にするので、ちゃんと掴まってれば大丈夫ですよ!

 でも丸一日グリフォンは地獄だから、何度も休憩をとりながらになるかな?

 

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