第308話 ジグスレイドの討伐開始!

 

 ―――――プリンお姉ちゃん視点―――――



「宿を取ったのはいいけど、一泊するかどうかも微妙だよね」

「クーヤちゃん次第かなあ?」

「ジグスレイドさえ滅ぼしちまえば平和になるぜ!」

「アイツらだけは潰す!」

「天使様が動き始めましたので、私達も移動を開始しましょう!」



 天使様が召喚獣サモンビーストを大量に呼び出したら、現場はメチャクチャになりそうですし、敵のアジトの中に入るのは危険かもしれませんね。


 私達は建物を包囲して、ジグスレイドの連中を一人も逃がさないようにした方がいいのかも・・・。



「レオナ!またアイツらが来たよ!!」

「マジでしつこいな!」

「また10人くらいいるね~」

「どうする?」

「天使様を連れ去ったのですから、今回は脅迫してくるかもしれません」



 ジグスレイドの集団が、近くまで駆け寄って来た。



「よーし、全員揃ってるぞ!」

「用件は分かってるよな?」

「あのガキを返して欲しけりゃ、大人しく俺達について来い!」

「ヒャハハハハッ!安心しろって、楽しい遊びをするだけだからよぉ!」

「ドレスのねーちゃんは俺んだからな!」



 思った通り、天使様の身柄と引き換えに脅迫してきましたね。


 でも残念ながら、すでに天使様が脱獄を開始したとの情報をハム助から受け取っていますので、馬鹿共に従う必要などこれっぽっちも無いのです。



「なんだと!?お前らが誘拐しやがったのか!クーヤを返しやがれ!!」


 バキッ!


「がはッッッ!」


 ドシャーーーーーーーン!!



 レオナさんが、背の高い長髪の男を力いっぱいぶん殴った。



「クーヤちゃんを誘拐するなんて絶対許さないから!」


 ドガッ!


「うガヘッ!!」


「お、おいバカ女ども!分かってねえのか!?こっちには人質が」


「クーヤちゃんを返して!!」


 ボガン!!


「ごへアッッ!」



 ナナさんがさっき道端で拾った木の枝が、太った男の脳天に叩きつけられた。



「ふざけんな!子供の命がどうなってもいいのか!?」


「クーヤを返せ!」


「だから大人しくついて来たら返してやるっつってんだろうが!」


 バキッッッ!!


「ぎゃあアアアアアアアアアッッ!!」



「フフッ」


 誰も言う事を聞かないから、ちょっと笑いそうになったじゃないですか!

 でも折角なので私も参加するとしましょう!



「お前らいい加減にしろ!ガキの命がどうなってもいいのか!!」


「卑怯者め!天使様を返しなさい!」


 グシャッ!


「ごゲハアッッ!!」


 ズサーーーッ ゴロゴロゴロゴロ


「なんて頭の悪い女共なんだ!!こっちには人質がいるんだぞ!!」


「うるさい!」


 バキボキッ!


「ギャアアアアアアアアアアアアッッッ!!」




 ―――――こうして、子供を人質に取って脅迫してきた悪者共は全滅した。






 ************************************************************




 ―――――悪者看守の生存が気になるクーヤちゃん視点―――――




「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」



 うーん、どうしよう?


 それ以上攻撃しないようクマちゃんには言ったんだけど、うつ伏せに倒れてる悪者看守はピクリとも動かない。


 正直、生存を確認するのが怖いのですが!



「その召喚獣サモンビーストが異常なほど凶悪なのはさて置き、最高にスッキリしたぞ!」

「エーーーーー!?そうなの?」

「俺はあの男に何日も拷問されてたんだ。見るも無残な姿になっても憎しみの感情しかないな」



 ああ、そっか!あの看守って残酷そうだし、すごく頭が悪そうだし、ボクが隣に入居して来なかったら殺されてたかもしれないね。


 じゃあもう万死に値するってことで、気にしないでおこう!



「だが気絶しているだけかもしれん。確認だけしておくか」



 マグロのおっちゃんが悪者看守に近寄り、検分を始めた。

 髪の毛を掴んで頭を持ち上げたりしている。



「チッ!顎を砕かれて気を失っているが、ギリギリ生きてやがるな」



 やったーーーーー!ボクは生きてるって信じてたよ!!

 アレはもう放っといて先へ進もう。


「ん?」


 ふと横を見ると、メルドアとレグルスが格闘家のフェイスオフばりに顔を近づけて、『やんのかコラ!』『殺すぞ!』とバチバチやり合っていた。


 少し目を離すとコレだ!ホント仲悪いよな~。



『今の音はどこからだ?』

『もしかして牢獄か?』

『行くぞ!』



 イカン、悪者がこっちに来る!



「メルドア、レグルス、クマちゃん、この建物内にいる人間は大体全部ボクの敵です!容赦なくボコボコにしちゃってください!でも殺すのは禁止ね」

「ちょっと待て!その命令だと俺も攻撃されるだろ!」

「あ、このマグロのおっちゃんだけは味方だから攻撃しちゃダメだよ?あと子供や悪そうじゃない女の人も攻撃禁止ね」


 脅されて無理矢理メイドとして働かされている人とかいそうだしな。


『オン!』

『ガウ!』

『ンゴ!』



 タタタタタッ



「おいキサマら、何やってやがる!」

「脱獄しやがったのか!」

「ふざけたこと・・・を・・・」


 牢獄に駆けつけたジグスレイドの増援が、非常にデンジャラスな魔物が数体いることに気が付いた。


「うわああああああああああ!!」

「魔物だ!!」


 トタタッ バシュッ!


「ぎゃあああああアアアアアアアアアア!!」



 容赦するなと命令したので、メルドアの攻撃でバンダナ男の右足が吹き飛んだ。



 いやいやいやいや!


 確かに即死させてはいないけど、それは失血多量で結構ヤバイような・・・。

 けどジグスレイドは潰すって決定したしな~。



「うん、見なかったことにしよう」

「お前の召喚獣サモンビーストって、いくら何でもヤバ過ぎないか?」

「もっと強い子もいるよ?今回は呼ばないつもりだけど」

「そ、そうか。ジグスレイドを潰すってのは本気で言ってたんだな・・・」



 さてと、そろそろ召喚獣をどっちゃり出して一気にアジトを制圧だ!

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る