第296話 グルミーダ狩りの必勝法を伝授する

 南の森の主でもあるメルドアを見たホニャ毛が騒ぎ出したけど、構わずレグルスも召喚した。



「はあ!?ちょ、ちょっと待て!黒いメルドアジェンダだと!?」

「あの森って、こんなのまでいたの!?」

「もしかしてお嫁さんとか?」

「どちらかと言えば白い方がメスっぽいかな?どっちも怖い顔してるけど」


 いえ、どっちもオスです。

 しかもめっちゃ仲が悪いです。



「白くま召喚!」



 シュッ



 ハムちゃんらは到着した直後に呼び出してあったので、最後に白いローグザライアを呼び出した。



「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」



 当然ながらホニャ毛はフリーズした。


 ボクの召喚獣からは魔力を感じないそうなんだけど、そういうの関係ナシにしてもローグザライアは見た目がヤバイですからね。



「おい、コイツも絶対ヤバイ魔物だろ」

「クーヤちゃん凄すぎだよ!」

「凄いというか、有り得ないというか・・・。この1体を呼び出すだけでも、とんでもない魔力が必要だと思うんだけど・・・」

「しかも召喚士って、自分一人の力だけで魔物を倒さなきゃ召喚獣に出来ないって聞いたわよ?だから召喚士はみんなマッチョなわけだし」

「はあ!?クーヤが一人でコイツを倒しただって!?」

「カロリーゼロもだよね?」



「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」



 なんかさ~、どうやって倒したかヒントをあげないと、狩りに行けない感じじゃない?でもドラちゃんまでは見せるつもり無いので、アレにしとくか。



「どうやって倒したのか、特別に教えてあげるよ!」



 ホニャ毛がショタに注目した。



「カブトムシ召喚!」



 ブブブブブブブブ



 ショタのすぐ上空で、5体のカブトムシをホバリングさせる。



「・・・虫?」

「こんな小さな虫で、あんな大きい魔物を倒したの??」

「違う、コイツは虫なんかじゃねえ!ガジェムだ!!」

「はい!?いや、え?嘘でしょ!?」


 ブブッ ペタッ


「ひッ!」

「うわっ!」


 1体ずつ彼女らの胸の辺りにくっつけてあげた。


「ボクの召喚獣だから怖くないよ。むしろ可愛いくらいだよ!」


「・・・・・・・・・・・・」

「虫くらいなら平気だけど、これは・・・」

「ツルツルしてるな!」

「可愛いかどうかはともかく、ガジェムって目で追えないほどの速度で飛ぶ超危険な魔物じゃない!」

「そんなのどうやったら倒せるの?」

「美味しいエサで誘き寄せる!」

「なるほど!そういう裏技的な方法でなら倒せるのかもしれんな」

「確かに飛んでるガジェムを倒すのはちょっと無理よね~」


 いえ、どちらかと言えば飛んでるのを倒した風です。


 でもなんかエサで誘き寄せたってことになったみたいだし、説明も面倒だから放っておこう。



「そろそろ森に入るぞ~」



 いい加減レオナねえが痺れを切らしたので、カブトムシを回収してからゾロゾロとグルミーダの森に入って行った。



「リズを遊ばせておくのはもったいないから、シーラと一緒に盾係だ」


 レオナねえが予備の盾をリズお姉ちゃんに渡した。


「他の魔物が寄って来た時は、ロコの精霊とミルクの魔法で撃退な!」

「盾係?攻撃はしないのか?」

「しない。盾係は永久に盾係だ」

「マジかよ!すげーストレスが溜まりそうじゃねえか」

「めっちゃ溜まるぞ。でもその作戦が一番効率が良いんだからしゃーない」


「見つけたよ!」


「よし、じゃあまずはアタシらが手本を見せるから、ココで見ていてくれ」

「わかった」



 レオナねえとアイリスお姉ちゃんが、盾を構えてグルミーダのいる方へ突っ込むと、戦闘モードに入ったグルミーダが青白く光った。



「あっ、光った!」

「あの小さな魔物って何だっけ?」

「知らん」

「確か『グルミーダ』だったかしら?手袋に魔力を流すことで、あの魔物の特性を再現したのね・・・」



 ガギン!



「光ることで硬化したのかな?痛そうな音が鳴ってる」

「だから手袋がカチカチになったんだ!」

「けど小せえな。あんなのを1体倒したところで、手袋片手分にしかならねえぞ」

「レオナ達は全員肘まである手袋を着けてるけど?」

「エーーーーー!そんなの気が遠くなるよ!」

「なんで盾で弾き返してるだけなんだろ?倒さないの?」


 そうこうしている間に、グルミーダが2体に増えた。


「なんか増えてる!」

「もしかすると、ずっと防御だけしてたらグルミーダが増えていくのかも!」


「正解です!防御に徹するのは、素材に傷を付けない為でもあります」


 プリンお姉ちゃんが正解と言ったので、ロコ姉ちゃんとミルクお姉ちゃんがニコッと笑った。


「盾で防御だけしていれば5体くらいまで増えますので、もう増えなくなったなーと思ったらグルミーダの弱点である雷魔法で一掃します」

「私の出番だね!雷魔法が弱点なのか~、メモメモ」

「ただグルミーダとの戦闘中に別の魔物が出て来ることがよくあるので、見張り役もすごく重要ですよ。私はタマちゃんに守ってもらっています」

「あの三人と別行動して、効率を重視しているわけか」

「ただ、三人では少し不安ですので、レオナさんチームにはメルドアを護衛としてつけています」

「メルドアジェンダを護衛に!?」

「豪勢だね~~~~~!」


 こっちのチームは、プリンお姉ちゃんが盾の達人だから一人で十分なので、その分護衛を多くしています。


 それにしても『タマねえ』『レグルス』『白くま』が護衛って、天下狙えるな。


「ロコ姉ちゃん達は四人だから、バランスとしてはちょうどいいかもだね!」

「うん!精霊達に見張らせるから、守りは鉄壁だよ!」

「そういえば、クーヤちゃんは狩り場で何してるの?」

「ジャーキーを作ってます」


「「ジャーキー?」」


「今日も作る予定だから、帰りに御馳走するね!」

「御馳走ってことは食べ物!?」

「ジャーキー最強。食べたら病みつきになる」

「それは楽しみね!」



 大まかな流れの説明が出来たので、ここは美少女チームに任せて狩場を移動。


 その途中で出てきた2体のゴリラをクマちゃんパンチでボコボコにし、ホニャ毛から拍手喝采を受けていると、次のグルミーダを発見した。



「シーラお姉ちゃんとリズお姉ちゃん、盾を構えて突撃ーーーーー!」

「ひたすら攻撃を弾いていればいいのよね?」

「うん!」

「んじゃ行って来るぜ!」



 二人と対峙したグルミーダが青白い光を放つ。



 ドンッ



「うおっ!思った以上の衝撃だ!シーラも気を付けろ」

「盾は私の真骨頂なんですけど!むしろリズの方が心配よ!」

「確かにシーラ一人で盾役をやった方が良かったような気もするな。まあとりあえず今日は二人でやるぞ!」



 というわけで、ようやくホニャ毛によるグルミーダ狩りがスタートです。


 ボク達はもう狩りをしなくても十分なんだけど、この森に来たからにはただ遊んで帰るのもね~。予備の手袋を作ってもいいし、革はいくつあっても困らないのだ。

 

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