第272話 大好きだったあの食べ物を作るのです!

 クーヤちゃんの防御力ゼロ問題を解決する黒い革の服の製作をクリスお姉ちゃんにお願いし、これであとは全員分の革の肘まで手袋を作ればとりあえずの目標達成ってところまで来ました。


 でもこの呼び方だと、悪そうなお兄さんのコートの黒い革と混同して少し紛らわしいから、『グルミーダの服』って呼んだ方がいいのかも。


 あひるポンチョのフードに入れる黒い革は、ズレたりすると直すのがイチイチ大変なので、帽子を作ってもらうことになりました。


 でもハゲヅラの方は、中に帽子を被ると変な見た目になるに決まってるので、ハゲヅラ専用のよくわからん被り物を作ってもらうことにした。


 ハゲ頭の光加減で形や位置を変更する可能性が高いので、まずは簡単に調整出来るようにしてもらって、『これだ!』という形で固定してもらう感じになるのかな?


 とにかくこれが一番重要な装備品なので、完璧な物を作りたいですね!


 ・・・あ、そうそう!


 溜め込んだグルミーダの皮なんだけど、皮をなめして革にするのに何日もかかるんじゃないかと危惧したところ、なんとこれがビックリ!


 ナナお姉ちゃんが魔法でパパっとやっちゃったみたいなんですよ!


 賢者スゲーーー!と思ったら、剣と魔法の世界ではそんなに難しい作業じゃないみたいで、魔法使い系の職業の人なら誰にでも出来るんだってさ。


 というわけで、グルミーダの革は全部クリスお姉ちゃんに預けました。


 絶対余るって言われたけど、余裕があった方が満足いく物を作れるだろうから、そのまま持っていてもらって、余ったら返してもらうってことにしました。


 これほどまでに小さな革を繋ぎ合わせるパッチワーク的な作業はあまりやったことがないようで、何日で出来上がるかはわからないみたいだけど、クリスお姉ちゃんが絶対綺麗に仕上げてみせると張り切ってたから期待して待つしかないでしょう!


 これでボクの装備はもうバッチリかな?

 あとはみんなの肘まで手袋の革集めに集中するのみだね。


 あっ!ボクの手袋も必要なのか。レオナねえのお下がりでもいいけど、自分の手の大きさに合わせて作った方がいいような気がする。


 それとバッファロー狩りもがんばらなきゃだ。こっちもかなり重要です!



 ―――――そして次の日。



 ブロディさんの防具屋でホニャ毛の人達と合流し、ノートに描いた絵をブロディさんに見せて塗装の依頼をしました。


 その後、店内を見て回っていたリズお姉ちゃんが素晴らしい鎧と出会ったようで、豪快にもキャッシュの一括払いで購入。


 これにはブロディさんも気を良くし、『塗装は任せておけ!』とやる気マンマンで闘志を燃やしていました!


 上客を連れて来たレオナねえ達も、ブロディさんを稼がせてあげることが出来たので、嬉しそうな顔をしていたのが印象深かったです。


 やっぱり塗装だけじゃ儲けは少ないので、店内にある鎧に中二心をくすぐる塗装をして、それを購入してもらう形が一番良いでしょうな~。


 ホニャ毛がオシャレ装備を着て歩くようになってからが本番だね!


 噂が広まったら客が雪崩れ込んで来ると思うんで、それまでに格好良い鎧をいくつか完成させなきゃダメですよ?最初が肝心だと思うし。


 従業員を増やすよう言っといた方がいいかもしれないな~。


 それはともかく、ホニャ毛はこの後シェミールに身体のサイズを測りに行くことになってます。彼女達も装備が手元から無くなってしまったので、しばらく冒険者活動はお休みするってさ。



 というわけで、ボク達の出番はここまで!

 今日も元気にグルミーダの森へと出発だーーーーーーーーーー!






 ************************************************************






 防具屋に寄ってから狩りに出発したので少し出遅れたけど、グルミーダを16体とバッファロー1体を狩ることが出来ました!


 かなり大変だったハズなのに、みんなバッファローの美味しさを知っているのでニコニコしながら解体作業を済ませ、何とか夕食前に帰宅できた。


 そして夕食を頂いてお風呂でサッパリした後、狩りの間に閃いた作戦を実行するため、お母さんに指示を出してバッファロー肉をちょうどいい薄さに切ってもらっているところです。


 その間にボクは、昨日の焼肉パーティー中に完成させた秘伝のタレに数種類の香辛料を混ぜ合わせて、『コレだ!』という味を探し出す。


 地球人で勘の良い人ならば、何をしているのか気付くかもしれないな・・・。


 そう!ボクが作ろうとしているのは、ビーフジャーキーだ!!

 せっかく牛肉っぽいのが手に入ったのだから、もう作るしかないでしょう!



「クーヤちゃん、これでいいのかしら?」



 おっと!お母さんが肉を切り終わったみたいだ。

 見ると、ちょうど良い薄さの肉が、まな板の上にいっぱい並んでいた。



「うん、バッチリ!!タレも完成したような気がするから、この中に肉を全部入れちゃってください!」

「はいは~い!」



 すべての肉を秘伝のタレの中に投入し、しっかり混ぜてもらう。

 そして肉に味を染み込ませるため、そのまま冷蔵庫に入れてもらった。



「これでおしまいなのかしら?」

「うん!丸一日漬け込んで味を染み込ませるの」

「すごく本格的なのね~!」



 あとは乾燥させてから燻製にするんだったよな・・・。たしかこの世界にも燻製はあったハズだから、最適な木なんかもたぶん誰かが知っていることでしょう。


 よーーーし、狩りの前にナナお姉ちゃんに燻製マシーンを作ってもらって、ボクは一人でビーフジャーキー作りをがんばりますぞーーーーー!

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る